人材アセスメントとは?公平性のある人事評価を行なうヒントを解説

人材の流動化が活発になり、「より働きやすく、より働きがいのある会社」に人が集まりやすくなっている昨今。充実した福利厚生はもちろん、社員を正当に評価する制度がきちんと整っている企業ほど、定着率も高くなりやすい傾向にあります。では、社員にとって納得感があり、公平性や透明性もある評価制度とはどのようなものなのでしょうか。そんな疑問のひとつの答えとして、人材アセスメントという評価手法が注目を集めています。今回は、人材アセスメントの概要や、昨今注目を集めている背景、導入メリットおよびデメリットなどについて解説しています。ぜひご一読ください。

 

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人材アセスメントとは

人材アセスメントとは、社外の第三者に自社の人材の能力を公平に評価してもらう手法のことです。客観的な視点を持つ第三者に評価してもらうことで、主観に左右されない公平な評価がされやすいというメリットがあります。

従来の評価制度との違い

人材アセスメントと従来の評価制度の主な違いは、2つあります。ひとつは評価者の違い。人材アセスメントの評価者は社外の人間ですが、従来の評価制度は自社内の人間です。人材アセスメントがあえて「外部の人間が評価する」という方法を採っているのは、公平性を確保しやすくするためといえます。もともと組織の評価制度とは、人材を正当かつ公平に評価するために設けられているもの。しかし、実際のところは上司の主観に左右されたり、学歴や資格、経験の有無といった先入観から評価がぶれたりすることもあり、常に公平であるとは言いにくいのが現状といえるでしょう。このような人事領域の課題に向き合う1つの答えとして、人材アセスメントは第三者を評価者に据え、客観性を確保しているところが特徴です。

 

もう一つは、評価制度としての重み。従来の人事評価は、人事評価の結果がそのまま昇進や昇格といった「社員の評価」に直結する傾向にありました。しかし人材アセスメントは、あくまで社員への評価を明らかにするための1つのツールとして活用されることが多いです。人材アセスメントは確かに社員を公平に評価しやすい手法ですが、社内の人間から見た評価をまったく考慮しないのも、社員の納得感を削いでしまうリスクがあります。客観性に長けた人材アセスメントと、従来の評価制度を組み合わせて、より納得感のある評価制度を目指している企業が多いといえるでしょう。

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人材アセスメントが注目されている背景

ではなぜ、従来の人事評価に加える形で、人材アセスメントという方法が注目を集めているのでしょうか。

年功序列に変わる、客観的な評価基準が求められたため

日本のビジネス社会は、もともと年功序列による昇進・昇給が一般的でした。しかし昨今は、終身雇用制が崩壊しつつあり、人材の流動性が高まっています。勤続年数の長さによって昇進・昇給が決まるという、従来の年功序列による評価は難しくなっています。また、労働人口の減少によって、新規人材の獲得も難しくなっているのが現状です。それぞれの人材のポテンシャルを最大限に引き出すことが求められるようになったことから、社員一人ひとりの適性を客観的に判断する、人材アセスメントのようなノウハウが注目されているのです。

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リーダーに適した人材を見つけるため

人材アセスメントは、特定の適性を持つ人材の選出方法としても優れています。将来的なリーダー候補を見つけたいときや、人材の昇進・昇格を決める際の試験としても活用することが可能です。従来、リーダーの選出方法としては「能力の高い人材」「成績のよい人材」に任せるという成果主義的な方法が主流でした。しかし、ポテンシャルの高い人材が必ずしもよいリーダーになれるわけではありません。たとえば、個人ではそれほど目立った成績は出さないものの、リーダーとして周りをうまくまとめる才能を持つ人もいます。

 

このような理由から、リーダーとしての適性を持つ人材を成果以外の方法で評価する手法としても、人材アセスメントは注目されているのです。加えて、勤続年数による昇進・昇格などが難しいことや、団塊世代の定年退職により管理職クラスの育成を急ぐ企業が増えていることも要因の一つ。早めにリーダー候補の目星をつけ、人材育成に取りかかるための手法として、人材アセスメントに注目する企業が増えているといえるでしょう。

人材アセスメントのメリット

「客観的な評価が下せる」「人材育成に役立つ」など、人材アセスメントには様々なメリットがあります。人材アセスメントを導入するメリットを、さらに深堀してみましょう。

評価エラーを防ぎやすくなる

人材アセスメントは外部の「アセッサー」が社員の能力を評価することから、客観的な評価がしやすい点が魅力。第三者の評価ということで、社員が納得感を得やすいところもメリットといえます。加えて通常の人事評価、つまり社内の人間が社員を評価する手法で起こりやすい、評価エラーを防ぎやすくなります。

 

評価エラーとは、評価者の主観によって、対象への評価が偏ってしまう現象のこと。具体的には、目を惹く第一印象や輝かしい経歴に評価が引きずられてしまう「ハロー効果」や、評価者として尖った結果にしたくないという気持ちから無難な数値をつけてしまう「中心化傾向」などが有名です。これらの評価エラーを防ぎやすいという点において、人材アセスメントを導入するメリットは大きいといえるでしょう。

管理職候補の選定や、学習意欲の喚起に役立つ

人材アセスメントが注目されている背景でも触れましたが、人材アセスメントは管理職候補の選定に役立ちます。加えて、人材の学習意欲の喚起になるところもポイントです。まず人材アセスメントの結果は、社内研修などと同じく、受験者である人材にフィードバックされるのが一般的。このフィードバックを受けて、人材は自分の弱みや強みを客観視することができ、今後にも活かすことが可能です。

 

人材アセスメントを行なうことそのものが学習意欲の喚起につながり、管理者候補の育成の手助けにもなりえるところがメリットといえます。また、企業としても人材の得手不得手を把握しやすくなるので、個別の教育方針を提示しやすくなるところがポイントです。人材アセスメントによって社員一人ひとりの特性を明らかにし、適切な指導をすることで、効果的なスキルアップが見込めるところが魅力といえるでしょう。

人材アセスメントのデメリット

人事評価において様々なメリットがある人材アセスメントですが、一方で注意すべきデメリットも存在します。一例としては、人材個人の能力の決めつけになってしまうリスクが挙げられるでしょう。人材アセスメントは客観的な評価方法ですが、人材アセスメントのみを評価基準としてしまうと、個人の能力の決めつけになってしまう恐れがあります。人材アセスメントは当人の人間性や全能力を測定できるわけではないため、社内評価とあわせて、あくまで評価基準の補佐的に用いるのが好ましいといえるでしょう。

人材アセスメントの注意点

人材アセスメントの導入にあたり、注意したいポイントについても見てみましょう。まず人材アセスメントを自社に取り入れる際は、導入目的を明確にしておくことをおすすめします。理由としては、人材アセスメントが社員にとって、少なからず負担を強いることがある点が挙げられます。人材アセスメントは、ロールプレイングや適性診断、マークシートテストなど、複数のオリエンテーションを組み合わせて実施されやすい評価方法であり、場合によっては月単位で時間をかけるものもあります。

 

受験者にもそれなりに時間や労力を強いることも珍しくないので、人材アセスメントを行なう目的については組織的に共有しておくことが大切です。また、人材アセスメントの結果によって、今後の昇進や昇格が絶対的に決まるわけではないことを説明しておくようにしましょう。「人材アセスメントという未知の評価方法で、今後の自分の評価が決まってしまうのでは?」と社員が不安にならないよう、あくまで評価の指針のひとつであることを紹介しておくと安心です。

人材アセスメントの具体的な手法例

人材アセスメントの具体的なやり方は、「人材アセスメントによって人材のどのような面を評価・測定するのか」によって変わります。人材評価プログラムの専門家が会社のニーズに沿って人材アセスメントのフローを組むこともあるので、具体的な進め方について明確な正攻法があるわけではない点を念頭に置いておく必要があるでしょう。なお人材アセスメントの手法としては、以下の方法が挙げられます。参考にご一読ください。

適性検査

制限時間内にマークシート式や記述式の設問に回答してもらうことで、判断能力や適性、性格的な特徴を明らかにする検査方法です。後述するアセスメント研修と比べて採点がしやすく、検査にかかる時間も1~2時間程度であることから、気軽に導入しやすい評価方法といえます。

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アセスメント研修

アセスメント研修とは、実際の業務内容と似た状況を擬似的に作り、ロールプレイングによって個人の判断能力や適性を問う研修のこと。アセスメント研修では、アセッサーという「評価の専門家」が、人材の評価と研修の進行を担います。またアセッサーの主観的な評価にならないよう、アドミニストレーターという総括担当者が参加することも多いです。アセッサーとアドミニストレーターがそれぞれ独自に評価を行ない、お互いの内容が一致した評価を優先することで、評価の公平性を維持することもあります。アセスメント研修では、具体的には次のような研修が実施されます。

  • インバスケット演習
    インバスケットとは、管理職の机に置かれた未決箱のことです。未決箱には部下から寄せられた悩みや、上司からの指示書、他部署からの相談、本社からの依頼、顧客からのクレームといった、管理職として対応した方がよい多種多様な案件が入れられています。

    インバスケット演習とは、この未決箱に入った課題を、参加者が制限時間内にどうやって解決するかを見る演習です。参加者が解決する課題の順番や処理時間、プロセスなどをもとに、当人の問題分析能力や管理能力などを測ります。
  • グループディスカッション
    複数名で特定の議題について話し合ってもらうことで、話し合いへの対応力や、意思決定力を問う研修です。アセッサーは基本的に議論には参加しないため、「誰が議論を進行するのか」も含めて、参加者同士で考える必要があります。
  • 面接演習
    1対1の面接能力を問う演習です。参加者が上司役、アセッサーが部下役を務め、10分程度の面接を行ないます。上司役に与えられるミッション例としては、「部下のモチベーションアップに向けた話し合いをする」「部下の問題行動を指摘し、改善させる」などがあり、それぞれの課題に応じた対応力をチェックします。

なおアセスメント研修では、上記のインバスケット演習やグループディスカッション、面接演習といった複数のプログラムを並行して実施することもあります。

まとめ

人材アセスメントの概要や注目を集めている背景、導入にかかるメリットおよびデメリットなどについてご紹介しました。人材アセスメントを活用することにより、組織は人材の評価をより正確に行ないやすくなり、人材を適材適所に配置することも可能になります。また、採用プロセスにも人材アセスメントを導入することで、入社前のミスマッチを防ぐことにもつながるはず。これを機に、人材アセスメントと従来の評価基準を組み合わせ、より納得感のある評価制度を整えてみてはいかがでしょうか。

 

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