「人事評価シート」とは?目的や詳しい書き方を徹底解説

人材育成における取り組みの一環として、多くの企業が活用している「人事評価シート」。この記事では、人事評価シートの目的をはじめ、導入するメリットや具体的な活用方法、運用するにあたって気をつけるべきポイントなどについて、詳しく解説していきます。

 

人材育成や人事評価の際に欠かせないツール「人事評価シート」。自社においても既に導入・活用されている人事・採用担当者の方は多いのではないでしょうか。しかしながら、「毎年作成してはいるけれど、いつも書くのに苦戦してしまう」「そもそもこの書き方で合っているのか不安」、といったお悩みを抱えている企業も多いはず。人事評価シートは、正しく運用しなければ従業員一人ひとりの公平な評価はもちろん、さらなる成長を促すこともできません。

 

そこで、この記事では「人事評価シート」にフォーカスを当てて詳しく解説。「どうすれば正しく運用できるの?」「活用する際に企業が気をつけるべきポイントは?」といったことについて知りたいとお考えの皆様にとって、この記事が参考になりましたら幸いです。

 

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人事評価シートとは?

人事評価シートとは、企業が従業員の人事評価を行なうにあたって、評価すべき項目を整理・管理するために用いるツールのこと。内容は「スキルレベル」「目標達成率」「仕事に対する姿勢」「現状抱えている課題」といったさまざまな項目からなり、多角的な観点から総合的にマネジメントしていくことを目的に用いられます。

「人事評価」と「人事考課」は違う

人事評価と似た意味合いとして、「人事考課」という言葉を用いる場合もあります。意味としてはほぼ同じではあるのですが、厳密に言うとすれば以下のような違いがあると言えるでしょう。

□人事評価

→能力開発や人材育成の一環として従業員の能力・業績について判断すること

 

□人事考課

→賃金などの処遇を決める際の判断として従業員の能力などを査定すること

人事考課を行なうために「人事考課シート」を用いる企業もありますが、記載されている項目は非常に類似しているため、人事評価シートを人事考課シートとして活用している企業も多くあります。

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「人事評価シート」が注目された背景

1960年代以降の高度経済成長期以来、日本の企業では長年にわたって「年功序列」や「終身雇用制度」が当たり前のものとして適用されてきました。しかし、1990年代に起こったバブル経済の崩壊をきっかけに、それらのシステムが徐々に崩壊。より個人の能力を重視する「成果主義」へと舵を切る企業が増えています。それに伴い、従業員の能力をより客観的かつ適正に判断するツールが必要となったことから、人事評価シートを導入する企業が増えたとされています。

人事評価シートを活用するメリット

適切な人事評価を行なう上で必要な人事評価シート。その活用には、大きく分けて3つのメリットがあります。ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

公平性・透明性の確保

人事評価シートを活用する大きなメリットとしては、評価の公平性・透明性を担保することができる点にあります。人事評価シートを使えば、事前に設定した評価項目や基準に沿って評価することが可能。そのため、評価の公平性・透明性を明確にすることができます。

 

また、その内容を従業員にも共有することにより、納得感や成長へのモチベーションに繋げることもできるでしょう。逆に、もしも不透明な基準で不平等な評価を行なえば、従業員の大幅なモチベーション低下を引き起こしかねないため、注意が必要です。

人事評価における質の向上

人事評価シートを活用することによって、評価の”質”を高めることもできます。人事評価はさまざまな観点から多角的に行ないますが、どんな項目をどのように評価すべきか、その基準が曖昧だと、評価内容もぼんやりとしたものになってしまいます。

 

また、評価する人によって基準が異なったり、評価しなければならないポイントがずれたりといった問題も起こりかねません。そうした問題も、人事評価シートを活用すれば基準をはっきりさせることが可能。評価する側にとっても評価の指針になるため、評価の質・精度を高めることができるのです。

従業員の自主的な成長促進

人事評価シートを活用することによって、従業員の自主的な成長を促すこともできます。上司や企業から何を評価してもらえるのか把握できないと、従業員は何をどのように頑張ればよいか分からず、自発的に改善することができません。場合によっては、企業が求める行動と従業員の認識にミスマッチが生じてしまい、頑張りが評価に反映されない、なんてことも。

 

そうしたことを防ぐためにも、人事評価シートが有効。あらかじめ評価項目を共有しておけば、従業員が仕事に取り組む際の指針になるため、自発的な成長が期待できます。

人事評価シートを構成する3つの基準

人事評価を行なうにあたっては、一般的に「業績評価」「能力評価」「情意評価」の3つの領域から項目を決めて評価します。そのため、人事評価シートにおいてもそれらの観点を反映して作成する必要があります。以下にて、3つの領域それぞれの違いについて詳しく説明していきましょう。

1.業績評価

業績評価とは、成果や過程に対する評価のことです。「期間内に達成した目標」や「具体的な成果」などの他、「どのように取り組んだか」などの項目が業績評価に該当します。

 

業績は数値で表しやすいため、評価する側もされる側も透明性が高い点がポイント。ただし、プロセスを評価する場合は数値化が難しいため、人事担当者など評価を下す人物の見解に加えて、チームメンバーや取引先などの見解も含めて総合的な意見を参考にする必要があります。

2.能力評価

能力評価とは、職務を遂行する能力に対する評価のことを指しています。エンジニア職なら「使用言語の習得」や「開発スキル」、営業職なら「コミュニケーション能力」や「プレゼンテーション能力」などが必要なように、与えられた仕事を遂行するためには、専門知識や技能などを習得する必要があります。

 

そういったそれぞれ必要な能力に対して、「仕事を通してどれだけ身に付けたのか」「その能力をどの程度発揮したか」といった項目が能力評価に該当します。評価すべき能力は、職種はもちろん等級などによって異なります。役職やミッションなどに応じて評価のポイントを調整しながら、その都度適切に評価していきましょう。

3.情意評価

情意評価とは、態度や意欲に対する評価のこと。規律性や積極性、協調性といった観点から、「仕事に向き合う姿勢」や「設定した目標に対する取り組み方」、「日頃の勤務態度」などを評価する項目が該当します。

 

情意評価は数値化するのが非常に難しく、評価者の主観が入りやすいとされています。しかし、遅刻や欠勤などは勤怠実績として定量的な判断が可能。また、社会人としてのマナーやモラル行動などもある程度定量的に判断できるので、公正な評価を維持するためにもできる限り数値化するよう心がけましょう。

人事評価シートの運用を成功させる4つのポイント

先にも述べたように、人事評価シートは「業績」「能力」「情意」の3つの領域を踏まえて作成し、それぞれに基準を設けて総合的に評価していく必要があります。では、実際に人事評価シートを運用するにあたって、どのような点に注目したら良いのでしょうか。ここでは、運用を成功させる4つのポイントを挙げて、それぞれについて説明します。

1.評価基準が明確であること

人事評価シートで何より大事なのは、評価基準が明確であること。そのためにも、評価する項目や方法などを明らかにした上で、前もって従業員に共有する必要があります。評価される項目や基準などを事前に伝えておかなければ、従業員も目標を設定することができません。

 

また、どのような行動・成果がどう評価に響くかも分からないため、評価の透明性・平等性を疑問視してしまう可能性もあります。人事評価はもちろん、企業への信頼までも損なわれる可能性があるので、評価基準を明確にしていくことが大切です。

2.評価の内容に具体性があること

人事評価について従業員がきちんと納得できるよう、評価の内容に具体性をもたせることも大事です。ポイントは、人事担当者の主観ではなく客観的な視点に基づく評価を行なうこと。そうすることでより具体性をもたせることができ、従業員が納得できる評価の「理由付け」になります。

 

評価の”基準”と同様に、評価の”根拠”が不明確だと、従業員の不信感が募る可能性があります。モチベーション低下を招く恐れがあるため、できるだけ具体的な評価を心がけましょう。

3.絶対評価であること

他の従業員と比較して、評価の内容が人によって違ったり変動したりするようなことがあってはなりません。そのためには、一定の基準に基づいて評価する「絶対評価」を採用することが大事。他の従業員との比較ではなく、あくまで個人が設定した自己目標に対しての評価を行ないます。

 

中には、他者との比較によって成績を決める「相対評価」を採用する企業もありますが、従業員の納得度が高いのは「絶対評価」。自社の評価方針なども加味しながら、より適切な評価を取り入れると良いでしょう。

4.成果だけでなくプロセスも重視していること

評価基準の明確性や絶対評価を行なうという意味では、数値目標に対する達成率など、定量的に評価するのが正解です。とはいえ、結果だけでなくそこに至るまでのプロセスもしっかりと評価する姿勢を示すのも、人事評価を行なう上では非常に重要。

 

そうすることにより、たとえ目標が達成できなかったとしても「何が足りなかったのか」「どこを改善すれば良いのか」が明確になり、従業員のモチベーション向上にも繋がります。

人事評価シートを活用する際の3つの注意点

人事担当者が評価シートを活用するにあたり、いくつか気をつけなければならないことがあります。ここでは、3つの注意点を挙げてそれぞれについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

1.偏見や先入観による「評価エラー」はNG

たった一つの良い結果に影響されて全体的に良い評価をしてしまったり、付き合いの長い従業員ほど評価が甘くなってしまったりといったことはありませんか?従業員を評価する際、人事担当者が無意識に持つ先入観や思い込み、偏見などのバイアスが評価に影響することがあります。そうした現象は「評価エラー」と呼ばれ、人事評価において注意すべきポイントの一つとされています。

 

無意識のバイアスを完全になくすのは難しいですが、「評価にはバイアスがかかりやすい」という事実を知っておくだけでも効果はあります。心の隅に留めていただき、できる限り公正な評価をするよう努めましょう。

2.モチベーションを下げるような評価はしない

いくら正当な評価とは言え、従業員のモチベーション低下に繋がるような評価をしていませんか?従業員の能力開発は、本人のモチベーションなしには実現不可能。だからこそ、やる気を奪うような評価はNGです。

 

たとえば目標の設定。目標は従業員の成長を促すための指標であり、達成可能なものとして設定することが大事です。実現不可能な目標を提示したり、未達成を悪とするような評価では、成長を促すことは決してできません。現時点でのスキルや成長レベルを図るのはもちろん、従業員のやる気を引き出しさらなる成長を促すのも、人事評価シートの役割の一つと言えるでしょう。

3.しっかりとフィードバックを行なう

人事評価とは、評価すること自体が目的なわけではなく、フィードバックすることでさらなる成長を促すのが本当の目的です。だからこそ、評価の内容を従業員にフィードバックし、結果をしっかり受け止めてもらうことが大事。個人面談などの時間を設けて手厚く説明するのはもちろん、従業員から質問を受けた際にも、明確に回答できるよう準備しておくと良いでしょう。

厚生労働省「職業能力評価シート」をベースにするのがおすすめ

人事評価シートは、基本的に各企業で自由に作成することができますが、厚生労働省が提唱する「職業能力評価シート」をベースにしている企業もたくさんあります。

 

職業能力評価シートは、人材を育成するうえで大切な要素を把握するためのチェックシートです。「スキルレベルはどのくらいか」「ステップアップに必要な要素は何か」などを具体的に知ることができるのが特長。汎用性の高い作りになっているので、オジリナルの人事評価シートを作成するにあたっての参考にしてみてはいかがでしょうか。

人事評価シートは人材育成に加えて採用にも効果的

従業員がさらなる成長を目指すには、現時点でのスキルがどの程度なのかを客観的に把握することが欠かせません。その際、人事評価シートは大きな指針となります。また、成果主義を求める求職者にとっては、転職先を選ぶにあたっての判断基準の一つにもなっています。

 

人材育成としての観点はもとより、優秀な人材の採用といった意味でも、人事評価シートの導入は効果的。今一度自社の評価制度を見直し、人事評価シートの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

ここまで、人事評価シートについて説明してきましが、いかがだったでしょうか。人事評価シートは、従業員の能力を適切に評価するために欠かせないツールです。人事評価シートを活用することによって従業員のモチベーションを引き出し、さらなる成長を促すことができます。

 

従業員の能力開発を自社の事業成長に繋げていくためにも、経営戦略の一環として人事評価シートの導入し正しく運用しましょう。

 

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