エンパワーメントとは?意味、社員の能力の高め方などを詳しく解説



エンパワーメント(エンパワメント)という言葉を聞いたことがありますか?「初めて耳にした」「どこかで聞いたことがあるけど、よくわからない」「聞いたことはあるけど、説明を求められたら自信がない」という方も多いのではないでしょうか。

 

じつはエンパワーメントは、変化の多い現代で企業が生き残っていく鍵を握っているとも言われている重要なキーワード。つまり、この時代において必要不可欠な考え方なのです。ではこのエンパワーメントとは一体どのような意味で、どのように組織に導入していけばいいのでしょうか。

 

この記事では、エンパワーメントの意味や言葉の生まれた背景、メリットや導入していく上での注意点などを紹介していきます。より良い組織を作っていきたいという方のお役に立てれば幸いです。

 

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エンパワーメントとは?

エンパワーメント(empowerment)とは、組織にいる1人ひとりが力をつけていくことや、1人ひとりが力を出せるように権限を与えることを意味します。特にビジネスシーンにおいては、組織の「1人ひとりに力を付けさせる」「権限を与えていく」マネジメントスタイルのことを指します。

 

組織のパフォーマンスを最大化するために現場に権限を委譲することで、自主性・自律性を促進することが欠かせません。その結果として1人ひとりの能力開花を目指す支援活動のことをエンパワーメントと呼びます。

ビジネスシーンにおけるエンパワーメントの例と使い方

たとえば、仕事の進め方を部下に委ねることで、自律的に業務が遂行できるように促したり、業務の指示や解決方法を与えるのではなく、業務環境を整え、解決のための考え方を示すことで部下を支援したりする、自主性・自律性を重んじた行動、マネジメント方法がエンパワーメントです。

 

 

エンパワーメント

 

今、エンパワーメントが注目されている背景

近年のビジネスシーンで、エンパワーメントが注目を集めている理由は何でしょうか。大手から中小・ベンチャー企業まで、経営においてエンパワーメントが重視されているのには、大きくわけて次の3つの理由があります。

  1. 変化の激しい時代で生き残れる経営をするため
  2. 主体的で自立した人材を育成するため
  3. 社員を早期に戦力化するため

エンパワーメントが注目されている背景

1つずつ詳しく説明していきます。

変化の激しい時代で生き残れる経営をするため

1つめは、変化の激しい時代で生き残るためです。現場に一部権限を移譲し判断をゆだねることで、時代の流れを一早くキャッチした経営が実現できます。

 

AIなどの技術革新に伴うDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、グローバル化の影響によって、日本のビジネスを取り巻く環境は、日々刻々と変化しています。以前とは比べ物にならない速さで変化するマーケットで生き残るためには、意思決定のスピードが何よりも重要に。

 

情報を集約し、上層部のみで事業の細部を決めるのではスピードが遅く、時代の流れに乗ることは難しくなっています。従業員に権限委譲を行なうエンパワーメントを取り入れることで、現場でのスピーディーな意思決定が可能になり、顧客満足や事業推進につながります。

主体的で自立した人材を育成するため

限定的でも権限を与えることは、主体的に物事を考え推進することができる、自立した人材の育成につながります。上司がやり方を教えすぎたり、答えを与えすぎると、自分で考える力がなくなり主体的に物事を進めることが困難になってしまいます。言われた通りに仕事を行なうのと、責任をもって主体的に仕事に取り組むのでは、長期的に見てパフォーマンスにも大きな差が生まれてしまうのは明らかです。

 

権限をもった仕事で成功体験をつむことができれば、次の仕事へのモチベーションもアップにもつながります。権限を与え、主体的に考え・行動させることが、自立した人材育成へとつながるのです。

社員を早期に戦力化するため

社員の早期戦力化も、事業を成長させる上で必要不可欠。成果をあげるためには、組織・業務に慣れるなど、インプットすべきことが多くあります。とはいえ、一つひとつレクチャーをしていては、スピードが遅くなってしまいます。そこで、社員を信用して権限を移譲をすることが有効です。現場から吸収できる情報量を増やすことで、業務や組織の早期理解を促すことが可能になります。

エンパワーメントを導入するメリット

エンパワーメントを導入することで得られるメリットは次の3つ。

  1. 物事が進むスピードが格段に上がる
  2. 自分で考え、行動できる主体的な社員を育成できる
  3. 従業員の潜在的な能力を発見しやすくなる

エンパワーメントを導入するメリット

それぞれ詳しくみていきましょう。

物事が進むスピードが格段に上がる

冒頭でもご紹介したように、ビジネスを取り巻く環境は、以前とは比べものにならない速さで変わっています。そんな中、ことあるごとに上司に許可を取っていては、大きな時間のロスとなります。

 

権限を委譲し、与えられた範囲内で従業員が意思決定できるようになれば、まず物事が進むスピードが上がります。対応速度が上がることで、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

 

また、責任ある仕事を任せることは、事業成長に対して従業員の積極的な参加にもつながります。現場情報の積極的な発信や、課題の発見など、権限を与えることにより視野が広がり、より主体性をもって事業に携わるようになります。

自分で考え、行動できる主体的な社員を育成できる

権限を与え、自分自身で意思決定をすることによって、当事者意識が生まれます。同じ業務をするにしても、「なぜそれをやるのか?」背景を考えたり、より良い進め方を模索したりすることが当たり前になります。自分で仕事の責任をもつことで、仕事での創意工夫にもつながっていきます。

 

困難な壁にぶつかったとしても「任せてもらっている」「期待してもらっている」という気持ちがモチベーションにつながり、仕事に対する意欲も増します。結果として成功体験がつめ、目標にこだわりながら、自分で考え、行動できる従業委員の育成につながります。

従業員の潜在的な能力を発見しやすくなる

エンパワーメントが浸透することで、本人も気付かなかった従業員1人ひとりの能力が表に出てくることも期待できます。

 

事前に従業員の人柄・スキルを把握しているからというのはもちろん、権限を与える中で、課題にぶつかった際のアプローチ方法など、個々人の強みや特徴が出てくるからです。そこで見つけた能力や強みをさらに引き出すことで、早期のチームリーダー育成や、プロフェッショナルスキルをもった人材の育成にもつながります。

エンパワーメントの3つのポイント

社員に権限を与え、能力を開発させていくことが大事であると言いました。ではどういった部分がうまくエンパワーメントを行なううえでポイントになってくるのでしょうか。ポイントは3つ。

  1. 若いうちからチャレンジングで困難な非定型業務に挑戦させる
  2. スキルを伸ばすための投資を惜しまない
  3. 決裁権を持たせる

エンパワーメントの3つのポイント

1つずつ詳しく説明していきます。

若いうちからチャレンジングで困難な非定型業務に挑戦させる

エンパワーメントを高める上で大切なのが、少し背伸びをしたチャレンジングな目標を設定すること。中でも「非定型業務」が良いとされています。

 

非定型業務とは、ルーチン業務などの定型業務ではない(=決まったやり方がない)業務のこと。決まった型がないからこそ、仕事の仕組みから考えたり、新しいスキルを身につけるべく勉強したりすることで、従業員の早期能力開発につながります。オーナーシップをもって取り組み、成功体験を積むことで、リーダーなど次のステップへの挑戦や、会社へのコミットメントの向上などにもつながります。

スキルを伸ばすための投資を惜しまない

裁量や権限を与えて仕事を任せていく上で、スキルを伸ばすためのサポートは必ず必要です。たとえば、不足しているテクニカルスキルや考え方などを補える研修や勉強会の開催や、部下が自ら問題点を発見でき、改善ができるような仕掛けづくりなど、環境を整えることも重要です。早期に戦力化するためにも、従業員1人ひとりのスキルアップへの投資は積極的に行なっていきましょう。

小さくても良いので、決裁権を持たせる

どんなに小さなものでも、決裁権をもたせることは部下のモチベーションにつながります。通常であれば上司が行なう業務の一部を部下に与え、そして実行させることが、達成感や自尊心を満たすことなどにつながっていきます。

 

権限を渡されたことで、新たな困難やスキルアップの必要性に迫られることもあるかもしれません。しかしすでに「上司から任されている」「上司の仕事の一部を引き継いでいる」という成功体験を積んでいるため、チャレンジングな環境・目標に直面しても、前向きに取り組むことができるようになります。結果として、さらなる社員の成長につながるのです。

エンパワーメントの5つの注意点 

エンパワーメントを失敗せずに行なっていくには、次の5つの注意点があります。

  1. 社員の人柄・能力を知る
  2. 社員に責任を丸投げしない
  3. ビジョンや目的、ミッションとズレていないか確認する
  4. こまめにフォローを行なう
  5. 短期的に成果を要求しすぎない

エンパワーメントの5つの注意点

1つずつ詳しく説明していきます。

社員の人柄・能力を知る

権限を与える前に、まずは社員の人柄や能力を正しく把握することが大切です。というのも、従業員が権限に見合う能力を身につけていない場合、重大なミスや損失が発生する可能性があるからです。

 

事前に何が得意で何が苦手なのか、どういったコミュニケーションの取り方をするのか等を知ることで、適切な範囲の権限をわたすことができるようになります。また、人柄・能力を事前に知ることは、サポートやフォローを行なう上でも有効です。

社員に責任を丸投げしない

権限を与えるのは大切ですが、部下に責任を丸投げするのは失敗のもと。部下の自主性は尊重しながらも、目標に向けて自主的に行動しているか?致命的なトラブルになりそうな芽はないか?など、必ず定期的にチェックしましょう。あくまでも寄り添う姿勢で、支援することが大切です。

ビジョンや目的、ミッションとズレていないか確認する

エンパワーメントの特徴の1つは、従業員が権限をもって仕事を進めることができること。一方で、判断基準のばらつきや、事業の方向性・目的がズレてしまうといったデメリットもあります。それらを避けるためにも、事前にビジョンや戦略の方向性について改めて共有し、理解を深めることが重要です。

 

また、権限を与える際に、判断基準を明確にすることも必要不可欠。最終的なゴールから、全員で共通認識をもつことで失敗を避けることができます。

こまめにフォローを行なう

エンパワーメントを進めるうえで肝となるのが、上司と部下の信頼関係。部下の働きはチェックしながらも必要以上は介入せず、部下を信頼して任せることが大切です。成長の過程では、ある程度の失敗は発生するものと見込み、自由に仕事をしてもらうことが重要です。「信頼されている」と感じられることで、モチベーションや組織へのコミットメントにつながります。

 

もちろん、明らかに困難に陥っている時はサポートが必要です。常にフォローできる体制は整えておく。必ず定期的に報告をさせるなどして、成長を支えていきましょう。

 

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短期的に成果を要求しすぎない

先述した点と被りますが、ある程度の失敗・トラブルの発生は見込んでおき、許容できる風土を築くことも重要です。権限を委譲した当初から、上司や前任者と同じぐらいの成果を出すことは難しいものです。一定期間の試行錯誤・失敗を許容できなければ、権限移譲された部下は主体的に仕事を進めにくくなり、上司も権限移譲に消極的になってしまいます。


組織として、権限移譲後の中長期的に成果が出るまでの過程に責任を持つことが、エンパワーメントを成功・推進させる企業文化につながります。

エンパワーメントを導入する際の障壁

会社にエンパワーメントを導入する際に障壁となりうるものは次の2つです。

  1. 伝統的な文化や風土
  2. 情報の格差や不透明性

エンパワーメントを導入する際の障壁

1つずつ詳しく見ていきましょう。

伝統的な文化や風土

たとえば、管理職が出した指示を部下が従順に従うような文化や風土が根付いている組織では、エンパワーメントの導入に抵抗感を抱かれることが少なくありません。そのような環境でエンパワーメントを導入するには、各部署に事前に、具体的な内容や起こりうる変化などを丁寧に説明することで抵抗感を和らげることができるでしょう。

情報の格差や不透明性

エンパワーメントを実施するうえでのひとつのポイントは、従業員1人ひとりに裁量や決裁権をもたせていくこと。そして、裁量や決裁権をもつということは、仕事のさまざまなシーンで意思決定をすることになります。意思決定をするには、誰もが正しい情報やデータを入手できる環境が欠かせません。

たとえば、限られた人しか情報やデータを入手することができない環境では、エンパワーメントの実施は困難。職種や役職などに関係なく、誰もが情報やデータを入手できる環境づくりが必要でしょう。

エンパワーメントの効果を測定する方法

エンパワーメントの導入後にやるべきことは、エンパワーメントの効果を測定すること。測定するには次のような方法があります。

  • 従業員満足度調査
  • エンパワーメントの実施回数を測定する
  • ミスの回数を測定する

エンパワーメントの効果を測定する方法

1つずつ詳しく見ていきましょう。

従業員満足度調査

エンパワーメントの効果を測定するには、従業員1人ひとりの満足度を確認することも有効です。たとえば、下記のような質問項目を設定するとよいでしょう。

<質問項目例>
・自分の仕事において意思決定権を持っていると感じますか?
・自分の提案やアイデアが採用されることが多いと感じますか?
・会社は従業員からの意見や提案を重要視していると感じますか?
・自分は会社の方針や情報を正しく入手できていると思いますか?
・会社はエンパワーメントが推進されるためのサポートを行なっていると感じますか?

エンパワーメントの実施回数を測定する

たとえば、1ヵ月や半年などのように期間を定め、その期間内でエンパワーメントを実施したと思う回数を従業員に回答してもらう方法もあります。エンパワーメントの実施例としては下記のようなことがあります。

<エンパワーメントの実施例>
・意思決定をした
・アイデアを実行した
・自分の提案が受け入れられた

ミスの回数を測定する

裁量や決裁権をもつということは、能動的に仕事に取り組むことにつながりやすいため、仕事におけるミスの低減が期待できます。一定期間における従業員のミスの回数を測定することも、エンパワーメントの効果を測定する方法のひとつです。

エンパワーメントを実践する企業事例

実際に、エンパワーメントを経営・組織運営に取り入れている企業の例を紹介します。有名なのが「星野リゾート」。スピーディーな意思決定が求められる現代のビジネス界において、顧客と最も接点をもつ従業員1人ひとりがオーナーシップをもち働くことは理想です。

 

とはいえ、リスクもはらむため、なかなか推進できない企業も少なくないと思います。星野リゾートでは推進をするための「3つの鍵」と、実現するためのポイントを紹介しています。

星野リゾート

1つ目は「全社員と正確で重要な情報を共有する」こと。現場で直接顧客にふれているスタッフと、代表がもつ情報がイコールになるように情報発信を行ないました。さらに、経営ビジョン・戦略を分かりやすくかみ砕き、代表自身の言葉でスタッフに伝えたそう。

 

2つ目は「境界線を明確にした上で、自律的な働き方」を促すこと。星野リゾートでは、可能な限り本人が希望する仕事に携われる“自由度”を与えているそう。従業員がやりたい仕事ができているかを確認する仕組みを作ったことで、仕事へのモチベーションが上がり、業績アップに繋がりました。

 

3つ目は「セルフマネジメント・チーム型」の思考に置き換えること。たとえば人事・異動の多くは立候補制。階層化した組織をやめ、自分たちで統率するチームに変えたことで、従業員のモチベーションも上がったそうです。

 

特に大切だとあげているのが、"信念をもって「従業員を信じる」こと貫くこと"。そのためにリーダー自らが変わる必要がある、と述べています。

まとめ

組織を強くするために不可欠なのが、エンパワーメント。社員に権限を与えれば、その中で最大限の努力をし、思った以上の力を発揮してくれるものです。最初は「仕事を任せるのが不安…」と思うかもしれませんが、いつまでも権限を与えなければ自分で考える力は養われず、組織としても成長していきません。1人ひとりが自律的に考えていく集団を目指していきましょう。

 

ぜひ、この記事を参考にエンパワーメントを意識してみてください。

 

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採用ガイド編集部

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