試用期間中の解雇はできる?注意すべき点を解説!

将来の活躍を期待して、新たに採用した従業員。しかし、いざ入社したら実は深刻な問題を抱えた人材だった…。こうした事態はいつ、どんな企業の身に起こってもおかしくないことです。

 

問題の解決が望めないとなると、できることなら解雇したいと思われるでしょう。とはいえ、その従業員が入社したばかりでまだ「試用期間中」の場合、「はたして通常どおりの手順で解雇していいのだろうか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。また、企業として果たすべきことをせず、試用期間中に解雇をすることでトラブルに発展する恐れもあります。

 

この記事では、試用期間中に解雇ができるのか、試用期間中の解雇を行なう際の注意点や実際の手順について詳しく解説しています。万が一の事態を想定し、知識を身につけておくことが大切です。

 

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そもそも「試用期間」とは?

試用期間とは、採用した人材の能力や資質を見極めるために設けられた本採用までの期間を指す言葉です。期間の長さは法律では定められておらず、企業によっても異なりますが、基本的には1ヶ月~半年の間で設定されることが一般的です。また、いくらでも試用期間を長くできるのかと言えばそんなことはありません。過去の判例で、「試用期間の長さは能力や勤務態度の評価を行なうのに必要な合理的な範囲でなければならない」というものがあるので、合理的な範囲かどうかが問われます。

 

「仮の採用」というニュアンスで捉えられることも多い試用期間ですが、実はれっきとした労働契約であり、雇用主との契約関係そのものは本採用と変わりはありません。企業によっては本採用時と異なる待遇を用意している場合もありますが、労働者としての基本的な権利などは試用期間の従業員にも変わらず適用されます。

 

ちなみに試用期間の設置は義務ではないため、不要と判断した企業は設置しないことも可能ですが、もし設ける場合にはその内容を就業規則などに定めることが求められます。

参考:栃木県 労政とちぎ 

試用期間中に解雇しても大丈夫?

試用期間中の従業員の解雇について、労働契約法16条では解雇には「客観的に合理的な理由」が必要であり、社会通念上相当と認められない場合は解雇は無効となると定められています。仮に試用期間中であれど、会社側が勝手な理由で自由に解雇することはできないということです。

 

労働契約法 第十六条

 

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

引用:労働契約法 | e-Gov法令検索 労働契約法第十六条  

 

しかし逆に言えば、やむを得ない正当な理由がある場合には、解雇を選択すること自体は可能となっています。よってここでは、解雇を進める上で知っておきたいポイントを紹介していきます。

試用期間中の法的性質

試用期間は一つの労働契約であることに変わりはありませんが、法律的な性質としては「解約権留保付労働契約」とみなされています。この性質については、試用期間中の解雇を巡る判例の中でも代表的とされる「三菱樹脂事件」など、数多くの判例で解雇の正当性の根拠として言及されています。

 

この「解約権留保付労働契約」とは、契約そのものは行なわれているものの、その契約を解消する権利を企業側が「留保している」状態という意味です。そのため、契約継続が不適当だと判断した場合には、その留保している解約権を行使することで解雇が可能となります。

 

参考:厚生労働省 労働条件に関する総合条件サイト

解雇には「正当な理由」が必要

上記のように企業側が解約の権利を握っている「解約権留保付労働契約」である試用期間は、その分通常の従業員よりも広い理由で解雇が認められやすい、いわば企業側に有利な状態であるといえます。

 

とはいえ、実際に解雇を行なう場合には、その状況に応じた正当かつ明確な理由がなくてはなりません。もし、はっきりと明言できないあいまいな理由で解雇を進めようとすれば、それを不当と感じた従業員が裁判を起こし、最終的に大きなトラブルに発展する可能性もあります。

 

そのため試用期間中の解雇を考える際には、まずその理由は何なのか、なぜ解雇しなければならないのかを具体的にする必要があります。

 

参考:厚生労働省 労働条件に関する総合条件サイト 

試用期間中の解雇が認められる主な理由

試用期間中の解雇が認められる理由は事例によってさまざまですが、何よりも大前提として「採用選考の際には知ることができない(知ることが期待できなかった)」理由でなくてはなりません。もし解雇の理由につながる要因を面接で見抜けたのであれば、それを見落として契約を結んだ企業側の落ち度となるからです。

 

その上で、ここではどのような要因であれば解雇が認められるのか、いくつかの例を挙げて紹介していきます。

①経歴が詐称されていた

選考時に提出された履歴書や職務経歴書に虚偽の内容や誤りがあり、その内容を参考に採用を決めてしまっていたと判明した場合には、相手側の明らかな「契約違反」として解雇が認められます。

 

例としては、実際には卒業していない学校を「既卒」として記載したり、持っていない資格を保有資格欄に記載していたケースがそれにあたります。選考時の書類の内容は契約の成否を決める上で重要な役割を果たす要素のため、こうした経歴詐称は選考に大きな影響を及ぼすこととなります。

②問題行動や協調性の欠如がデータとして残っている

勤務時の仕事に取り組む態度や協調性は面接や書類だけでは見抜くことが難しいため、こちらも試用期間中の解雇の理由として成立します。たとえば、やむを得ない理由もなく何度も遅刻や欠勤をくり返したり、上司や周囲の従業員への態度が悪いといった場合に解雇が認められるでしょう。

 

また、「副業禁止」などの採用時に企業側から提示された条件を受け入れず、社内規定に反する行動を続けていたケースも正当な解雇になりえます。しかし、こうした勤務態度を理由とする際には、データとして問題行動を証明する情報が残っていなければなりません。

 

もし勤務態度などの面を理由に解雇を考えている場合は、その正当性を示すデータを確保することを忘れないようにしましょう。

③何度指導しても改善の余地が見られない

試用期間はその時点での能力・資質を判定すると同時に、研修などによって業務に必要な知識や技術を身につけさせていく期間でもあります。しかし、そうした教育をどれだけ行なってもスキルの習得が極端に遅かったり、成績があまりにも低いといった場合には解雇が認められることもあります。

 

しかし、これらの理由で解雇する場合には、まずは解雇の前に企業側が配置転換や指導などを最大限行ない、「それでも改善が見込めない」という事実が大前提となります。問題解決に向けた取り組みを一切行なわず、ただ能力や成績が低かったからというだけで解雇することはできません。

 

また、改善がないことを証明するため、「期間中に最低でも○○を習得」「業務で○○を達成」といった基準となる具体的な目標を提示しておくことも大切です。

 

参考:栃木県 労政とちぎ

試用期間中の解雇を決めてしまう前に

上記のような条件にあてはまり、正当な解雇が認められそうな場合であっても、すぐに解雇を行なってしまうのは早計です。解雇はいわば最終手段であり、もしかするとまだできることが残っているかもしれません。また、解雇に際して少しでもトラブルの種になりそうな要素があれば、先にそれらの対処をしておくのがよいでしょう。

 

よって解雇を決断する際には、まず問題の現状を把握し、「本当に解雇すべきか」をじっくりと吟味した上で手続きに取りかかることが大切です。ここでは、実際に解雇を決める際に気をつけるべき点や確認すべき点を解説していきます。

採用条件との相違はないか

解雇にいたる理由が「改善しない能力や成績の低さ」である場合に見落としがちなポイントとして、「そうした人材を選んだ採用活動に問題はなかったか」という点が挙げられます。

 

もし採用時の応募条件が「経験不問」だった場合、当然その募集には未経験の人材も応募しますし、経験がなければ初めての業務に対して不慣れだったり至らないところがあるのは当然のことです。このように、実は人材本人の能力や資質ではなく、そもそも採用を決めた基準に問題があるといったケースは決して珍しくありません。

 

そのため、解雇を考える際には人材個人に対してだけでなく、採用時の条件についても再度検証を行なうことが大切です。このタイミングできちんと採用条件を振り返り、正しく設定しなおすことは、今後同様のミスマッチを防ぐ上でも効果を発揮するでしょう。

試用期間の運用そのものは適切だったか

試用期間の長さは会社が独自に決定することが可能ですが、実はその期間設定に問題の原因が潜んでいるケースもあります。従業員の能力・資質を判断するのに要する期間は、すべての職種で一律とは限らないからです。

 

仕事に必要なスキルの中には、すぐに覚えて活用できる簡単なものから、長い時間をかけて習得していかなければならないものまでさまざまな種類が存在しています。特に後者の場合、たった数ヶ月の試用期間でその習得の度合いを判断することは難しく、まだ成長中の人材まで誤って解雇してしまう可能性もあるでしょう。

 

以上の理由から、解雇を判断する際には期間の長さや研修の内容など、「試用期間」という制度の運用についても一度評価と反省を行なっておくことをおすすめします。

過度な期待をしていなかったか

経験者を対象とした募集では、その経歴に対するバイアスが影響し、人材に対する評価が厳しくなりすぎてしまう場合があります。即戦力としての期待が強すぎるあまりに、採用後の実務能力と比較して実態以上に大きなギャップを感じてしまうのです。

 

しかし、業務の進め方は就業先によって必ずしも同じではなく、仮に経験者であっても新しい環境ですぐに実力を発揮できるとは限らないという点を忘れてはいけません。また、一口に経験者といっても、年数や実績によってその能力は一人ひとり異なります。

 

そのため、能力や成績が期待値に到達しない場合には、「期待値が高すぎる」という可能性も考慮した上でその正当性を検証しましょう。

改善の機会は与えたか

どのような背景による解雇でも共通に言えることは、「企業側が問題解決に向けた取り組みを一切行なわずに解雇を決めてはいけない」という点です。書類の内容に疑わしい点がある場合は本人との面談を行ない、成績や態度が問題である場合には配置転換や教育を実施する。そうした努力を行なった上で、初めて解雇が認められるのです。

 

そのため、もしその人材を自社で再び活躍させる余地が残っているのであれば、まずは解雇の前にできることを全て試してみるのがよいでしょう。一度採用した人材を最大限大切にする姿勢は、結果的に採用トラブルそのものを減らすことにもつながるはずです。

解雇を決めたらすべきこと

労働基準法20条では従業員の解雇を行なう場合、30日前までに対象の従業員に対して「解雇予告」を実施しなければならないと定めています。この解雇予告では解雇するという事実だけでなく、実際の解雇日と解雇に至った理由を明確に従業員に伝えなければなりません。

 

ちなみに、解雇予告は法律上口頭でも構いませんが、トラブルを避けるためにはきちんと「解雇通知書」を作成するのが望ましいでしょう。また、先に従業員から解雇通知書の作成を求められた場合には、企業はその申し出に必ず応じなくてはなりません。

 

なお、もしこの解雇予告を行なわずに解雇を行なう場合には、対象となる従業員へ最低30日分の平均賃金を支払うことが必要となります。この補償は「解雇予告手当」と呼ばれます。

試用期間中ならではの例外

上記の解雇予告の義務はあらゆる解雇のケースを対象としていますが、実は労働基準法20条では試用期間中の解雇について例外を定めています。その内容は「試用期間開始から14日以内の場合に限り、事前の予告なしでの解雇が可能」というものです。

 

とはいえ、この例外は適用にあたり混乱を生む可能性も高いため、先に労働契約書に記載しておくことが大切です。また、採用時には書面だけでなく口頭でもしっかりと説明を行ない、了承を得ることが望ましいです。試用期間中とはいえ、突然の解雇は従業員に対して大きな負担を強いることになります。そのことを理解した上で、適切な対応が必要です。

 

参考:労働基準法 | e-Gov法令検索 労働基準法第二十条 

通常の解雇と変わらない点

試用期間には開始後14日以内の例外こそあるものの、あくまで雇用契約の一種であることに変わりはないため、解雇にあたっての手順や留意すべき点は通常の解雇と大きく変わりません。法律についても、通常の解雇を対象としたものの多くが同様に適用されます。

 

例としては、労働基準法89条の「解雇事由は就業規則に必ず記載しなくてはならない」という項目や、第22条にある「労働者からの解雇証明の請求には必ず応じなくてはならない」という義務がそれにあてはまります。試用期間に関する例外が記されていない法律に関しては、基本的に試用期間も対象に含まれると考えてよいでしょう。

 

このように、試用期間中の解雇には通常の解雇に関する知識が応用できる部分が多いため、実際に解雇を行なう場合はひとまず通常の解雇手順を踏襲しながら進めていくことをおすすめします。

 

参考:厚生労働省 栃木労働局  

トラブルに発展しないために

試用期間は「解約権留保付労働契約」ゆえに通常より解雇のハードルが低めとなっていますが、その分雇用主と従業員の間でトラブルが発生しやすい傾向にあります。過去には法廷闘争に発展したケースも多く、一歩間違えば会社に大きな不利益をもたらすことにもつながりかねません。

 

こうした事態を防ぐためにできることとしては、試用期間中の扱いに関する情報を従業員側と共有し、コンセンサスのもとで契約を行なうことが挙げられます。また、解雇事由は就業規則などに記載が必要なため、そうした社内体制の整備も今のうちから進めていくのがよいでしょう。

 

トラブルが起きてから解雇の正当性を突きつけたとしても、相手は納得せず、かえって大きな不満を抱かせる結果となります。そうならないためにも、解雇の理由をしっかりと可視化することが大切なのです。

「試用期間の解雇を避ける」努力も大切

「本契約をするか否かを決める期間」と解釈されることも多い試用期間ですが、実際には試用期間が開始した時点で雇用主と従業員の間には確かな契約関係が生じています。そのため勘違いしてはならないのは、試用期間は「気軽に解雇できる期間ではない」という点です。

 

たとえ解約の権利を有しているとはいえ、一度採用して契約を結んでいる以上、その契約を解消するという行為には相応の責任が発生します。もし軽率な判断で解雇を決めたと知られれば会社としての信用を失い、活躍している他の従業員にまで不利益や不信感を与えることになってしまうでしょう。

 

そのため雇用主側の心構えとしては、問題のある人材に対してもすぐに解雇を考えるのではなく、まずは「どうすれば解雇を回避できるか」という視点から向き合っていくことが重要となります。人材に対する真摯な姿勢が伝われば、従業員も安心して試用期間中の業務に取り組むことができるはずです。

まとめ

試用期間は労働契約の一つですが、法律的には「解約権留保付労働契約」とされ、通常の契約時よりも幅広い理由での解雇が認められる期間でもあります。

 

しかし、解雇にはあくまで正当な理由が必要であり、その実施は法律にのっとって慎重に行なわれなければなりません。また、解雇以外の方法が少しでも存在するのであれば、先にそちらを試すことも大切です。

 

必要なければしないに越したことはない「試用期間解雇」ですが、いつその時が来ても正しく対応できるよう、知識だけでも身につけておいて損はありません。そのための手がかりとして、この記事がお役に立てれば幸いです。

 

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