求職者の主な内定辞退理由は?内定辞退を防ぐポイントまで解説

せっかく長い期間選考を行なって見つけ出した人材が、何らかの理由により入社をやめてしまう…そんな「内定辞退」は、採用活動を行なう上ではもっとも回避したい事態のひとつです。とはいえ、この記事をお読みの方の中には、「内定辞退は仕方のないこと、減らす術はない」とお思いの方もいるのではないでしょうか。

 

確かに、内定辞退には会社に非のない、求職者自身の都合によるものが多いことは事実です。しかし、その一方で辞退者の声に耳を傾けると、内定辞退理由の中には企業側の対応に原因があり、努力次第で防ぐことができたケースも一定数存在しているのです。

 

よってこの記事では、そんな「内定辞退理由」の実情や、その内容を踏まえて会社側がとるべき対策を紹介しています。また、実際の企業が取り入れている内定辞退の防止に向けた取り組みも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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内定辞退理由を知る前に、「内定」の基礎知識をおさらい

採用活動における「内定」とは、一般に「企業が採用の内定通知を出し、相手の求職者がその内容を承諾した状態」を指す言葉です。というのも、「内定」は解約権が留保された一種の「労働契約」と解釈されることが多く、その成立には双方の合意が必要とされています。そのため、「内定」に際して企業側は単に社内で内定を決めるだけでなく、書面およびメールで内定者に向けて内定通知書を発行しなければなりません。

 

一方で、内定とは言えないものの、その前段階としてお互いが内定に至るよう努力している状態は「内々定」と呼ばれます。こちらは多くの場合労働契約を結んだとはいえない状態とされることが多いですが、個々の事例によっては契約状態とみなされたり、一方的な破棄には損害賠償責任が生じることもあります。 

「内定辞退」と「内定取り消し」の違い

「内定辞退」とはその名の通り、一度内定の状態が成立した後、求職者側が自らの判断によってその内定を辞退する行為のことです。内定が一種の「労働契約」であることから考えれば、内定辞退はその契約を一方的に破棄しているということでもあります。しかし、求職者には職業選択の自由が存在するため、内定辞退は一般に容認されています。

 

逆に、企業側が一度成立した内定を破棄することは「内定取り消し」と呼ばれます。こちらは労働契約法16条の適用範囲として、実施には通常の解雇と同様に合理的な理由が必要です。しかし、「内定」の定義があいまいであることから実際には解雇と同等とみなされることは少なく、その判断の多くは企業側に委ねられています。

 

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内定辞退が企業に与える影響

採用活動は企業にとって多くの時間とコストを要する取り組みのため、内定を出すまでに至った求職者に入社前に辞退されることは大きな打撃となります。また、内定辞退が頻発し採用活動が失敗し続ければ、次第に企業自体の競争力も低下していってしまう可能性があります。

 

以上のことから、「いかにして内定辞退を防ぐか」という点は、多くの企業にとって無視できない重大な課題となっています。とはいえ、内定辞退防止の対策を立てる上では、まず内定辞退そのものの実態を正確に把握できていなければなりません。よってここからは、主な辞退の理由をはじめとした、内定辞退を防ぐ上で必要となる知識を紹介していきます。

内定辞退を取り巻く現状

2018年にエン・ジャパン株式会社が実施した選考辞退についてのアンケートでは、直近1年以内に中途採用を行なった企業のうち、内定前を含めた選考過程で求職者の辞退があったと回答した企業は全体の86%にのぼりました。これは2年前の同調査と比較して、3ポイントの増加となっています。

 

また、辞退されたタイミングに関する質問では、内定後に辞退されたと回答した企業の割合は58%に達しました。このことからも、いかに多くの企業が内定辞退を経験しているかが分かります。さらに注目すべきなのは、「以前よりも選考辞退の件数が増えた」という回答が前回より4ポイント増加し、51%となっている点です。こうした内定辞退の増加は、売り手市場の傾向が強まる採用事情を背景に今後も加速していく可能性が高いでしょう。

参考:en人事のミカタ 選考辞退について

内定辞退の主な理由

ここからは、実際の求職者が内定を辞退する主な理由を見ていきます。

企業としての魅力の不足

内定辞退を選択した理由としてよく挙げられるのが、その企業の雇用条件が他の企業より劣っているという点です。新卒・転職のいずれにおいても、求職者は多くの場合一社だけではなく複数の企業を併願して選考に臨むため、内定が出た後も条件面で他社と比較されることは決して珍しいことではありません。

 

そのため、こうした内定辞退は一見すると仕方のないものと思われがちですが、実際には企業側の募集や訴求の方法に問題がある場合も数多く見られます。たとえば、企業側の募集時のターゲット設定に誤りがあり、自社の条件面のメリットと合致しない層に訴求してしまっている場合、内定後に辞退が発生する確率は高くなります。

 

また、求人広告の記述に問題があり、本来メリットであるはずの条件が上手く求職者に伝わっていないといったことも他社との競合に負ける原因となります。よって魅力的な条件が揃っていながら内定辞退が頻発する場合には、アプローチの方法に問題がないかを確認してみましょう。 

志望意欲の減退

求職者が志望先に対して十分に魅力を感じてくれている場合でも、内定辞退が発生することはありえます。その場合の理由として多いのが、求職者自身の志望意欲の減退です。たとえば、選考に時間がかかりすぎたり、内定が出てから入社までの間が空きすぎると、その期間に求職者は志望先を意識することが減ったり、次第に「本当にこの会社でいいのか」と疑問に持ち始めてしまいます。こうした感情の変化が当初の志望意欲を弱め、入社を考えなおさせてしまうきっかけになるのです。

 

また、選考から入社までの期間がそれほど長くなくても、内定後のフォローが十分でない場合などには志望意欲は減退してしまう傾向にあるようです。 

スケジュール上の不都合

日々忙しく求職活動に励んでいる求職者にとっては、スケジュールの確保は大きな問題です。そのため、「スケジュールが合わない」という事態も、内定辞退を選択するひとつの理由になりえます。

 

たとえば、選考スケジュールが流動的で直前に予定日や時間が変更になる場合、日程の調整が難しくなり、「選考に参加したいのにできない」という求職者が生じてしまいます。他には、あまりに呼び出しの頻度や提出すべき課題の量が多すぎる場合にも、時間の捻出が大きな負担となってしまうでしょう。

 

もちろん、志望してくれている求職者を混乱させたり必要以上に拘束することは、会社自体の印象悪化の原因にもなります。会社の求職者に対する姿勢は、スケジュールの設定にも強く現れるのです。

求職者対応への不満

求職者が入社する企業を決める上で、雇用条件と同じくらい重要なポイントとなるのが「対応の丁寧さ」です。つまり、志望先の人事担当者や面接官の対応が、内定を辞退する要因になることもあるのです。

 

具体的には、選考の際に会った先輩社員の態度が悪かったり、選考に関する重要な連絡のレスポンスが遅すぎる場合がそれに該当します。これらの対応の悪さは求職者を不快にさせるだけでなく、入社後にその先輩社員のもとで働くことへの不安につながったり、「自分は歓迎されていない」という印象を与えてしまうようです。また、問題のある対応を通じ、「教育が徹底されていない」として会社としてのレベルまでもが低く見られる可能性もあります。こうした事態を防ぐためにも、求職者への対応には細心の注意を払わなくてはなりません。

【内定辞退理由から導出】防ぐための要点とは?

以上にまとめた内定辞退理由の中には、企業や採用担当者の工夫や努力次第でカバーできるものも存在しています。よってここからは、そうした内定辞退の防止に向けて行なうべき取り組みを解説していきます。

内定後のサポートの徹底

上記の内定辞退理由のうち「志望意欲の減退」のケースに特に多いのが、企業が内定後に求職者を「放置」してしまうパターンです。企業側は「内定さえ出ていれば安心してくれるはず」と考えてしまいがちですが、実際には内定から入社までの期間が長いほど、求職者は「内定ブルー」と呼ばれる不安や葛藤に晒されることになります。

 

この内定ブルーを和らげる取り組みとして有効なのが、内定後に実施する綿密なフォローです。たとえば、内定後も定期的に担当者から連絡があったり、入社にあたっての不安を相談できる機会が用意されていれば、求職者は悩みを一人で抱え込むことなく安心して入社の日を待つことができるでしょう。 

選考フローの見直し

入社までの間のサポートをきちんと行なっているにも関わらず内定辞退が発生する場合、考えられるのは「スケジュール確保のしにくさ」が要因となっているケースです。つまり、選考に最後まで参加すること自体のハードルが高いために、求職者がついていけなくなってしまっているのです。

 

こうした事態を避けるためにも、一度「選考の手順に無駄はないか」「課題は出し過ぎていないか」といったように自社の採用活動の流れを再確認し、改善すべき箇所の洗い出しを行なうのがよいでしょう。特に、入社までの手続きの煩雑さは忙しい求職者にとって大きな負担となるため、なるべくテンポよく簡単に行なえるよう制度を見直しておくことをおすすめします。

採用担当者の意識改革

まだ入社前の求職者が志望先の企業に持つイメージは、選考中の窓口となる「採用担当者の態度」によって決まるといっても過言ではありません。そのため、自分たちが選考する立場だからといって冷淡だったり高圧的な対応をしていては、求職者は入社を怖がったり、企業の魅力や志望意欲を見失ってしまいます。

 

よって選考中に求職者と接する採用担当者には、なるべく求職者を歓迎する態度を表に出し、相手に寄り添った対応を行なうよう指導を行ないましょう。特に重要なのは、求職者に対して「自分に期待してくれている」「信頼してくれている」という実感を持たせるよう意識させることです。 

見学会・内定者懇親会の開催

求職者の内定後に生じる不安を解消し、入社に向けたモチベーションを高めたいのであれば、勤務地を見学できる機会や内定者同士が交流する懇親会などをセッティングするのも有効な取り組みです。実際に人と会い、先輩社員や同期の仲間といった存在を認識することで、求職者は入社後の自らの姿をより明確にイメージできるようになるでしょう。もちろん、来社によって生じる負担を軽減したい場合などには、リモートで実施するという選択肢もあります。

 

ひとつ気をつけておきたいのは、社内の実際の雰囲気を伝えようとするあまり、忙しさや険悪な様子を見せてしまっては逆効果になりかねないという点です。そのため自社の現役社員を巻き込んだ取り組みを行なう場合には、余裕を持って参加してもらえるよう対象者に前もって内容を説明し、きちんと協力を仰ぐようにしましょう。

内定辞退防止に向けた、実際の企業の取り組み

ここまで紹介してきた内定辞退の防止策は、どれも多くの企業で取り入れられているごく一般的なものですが、中には内定辞退を回避するために独自の施策や制度を導入している企業も存在します。ここではそんな個性的な取り組みの例をいくつか紹介していきます。 

マルホ株式会社

皮膚科学の分野で名高い製薬会社『マルホ株式会社』では、内定後のフォローの一環として内定者のみが閲覧できる専用の情報発信サイトを開設しています。このサイトは内定から入社までの間、内定者全員が自由に利用することが可能です。

 

サイトで公開している情報は、「MR(医療情報担当者)の職種に必要な資格はどうすれば取得できるのか」といった業務に関する基礎知識から、借り上げ社宅の利用方法といった入社後の生活に関するものまでさまざま。さらにサイトには、入社にあたっての疑問点や不安を打ち明けることができる相談窓口も設置されています。

 

また、同社では内々定の時期に求職者へ「選考結果の個別のフィードバック」を実施しており、対象者は自分が内定に至った評価の内容を入社前に詳しく知ることが可能となっています。この取り組みも自己肯定感を向上させ、入社を悩む求職者の後押しになるとして好評なようです。

株式会社ニトリホールディングス

従業員にこの先働く上でのキャリアの道筋を組み立てさせ、目標の達成に役立てる「エンプロイー・ジャーニーマップ」。近年高い注目を集めているこの取り組みを、2019年にいち早く内定者フォローに導入したのが『株式会社ニトリホールディングス』です。

 

エンプロイー・ジャーニーマップは、自分がこれからどのような目標に挑戦し、どのようなことを成し遂げていくかを可視化する点に大きな特徴があります。この点を内定者の入社に向けた意欲を高め、不安を払しょくする上で活用している同社の取り組みは極めて効果的なものといえるでしょう。 

MHソリューションズ株式会社

ビジネス用アプリケーションの開発などを行なう『MHソリューションズ株式会社』が力を入れているのは、「教育」を通じた内定者フォロー。その方法は、今の時代ならではの最先端のものとなっています。

 

というのも同社では、内定後の教育にテキストによる教育カリキュラムの他、SNS機能がついた教育用アプリを導入。このアプリではクラスを選択することで基本的なビジネスマナーなどを学ぶことができ、空いた時間にスマートフォンで手軽に入社を見据えた準備を行なうことが可能です。

 

さらにアプリには、問題の成績に応じてユーザー間でのランキングが表示される機能も実装されています。この機能には、仲間でもありライバルでもある同期の存在を強く意識させるという狙いもあり、実際に内定辞退の防止にプラスの効果をもたらしているとのことです。

内定辞退の「引き止めすぎ」は逆効果

この記事で紹介してきた辞退防止の取り組みは、いずれも適切に行なえば一定の効果が期待できるものです。しかしその一方で、内定辞退を防止しようとするあまり必要以上に連絡を取ったり、辞退しそうな内定者にしつこく説得を行なうことは、かえって内定辞退を加速させてしまうでしょう。

 

特に近年では、内定を出した人材を入社させたいがために就活を終わらせようと圧力をかける行為が「オワハラ(就活終われハラスメント)」呼ばれ、大きな社会問題となっています。内定辞退を防ごうとすること自体は悪いことではありませんが、その行ないが求職者の自由を侵害することは決してあってはなりません。

 

そのため、内定後のフォローなどいった内定辞退の防止策を実施する際は、「引き止める」のではなく「情報を与えてフォローする」というスタンスで取り組むことが大切です。また、採用活動においては求職者よりも選考を行なう企業の方が強い立場にあることを自覚し、ハラスメントにあたる対応をしないよう心がけましょう。

内定辞退は「出る前提」で動くことが大切

「滑り止め」も兼ねて複数の企業を志望するケースが増えた今、内定辞退は誰もがとりうる行動となっており、むしろその数は採用活動のオンライン化などの影響で今後も増加していくことが予想されます。それゆえ、どれだけ辞退防止に力を入れたとしても、「内定辞退者を一人も出さない」という目標はあまり現実的ではありません。

 

よってこれからの時代には、採用活動において企業は「内定辞退は一定数必ず起こるもの」という姿勢で求職者と向き合うことが望ましいでしょう。そのようなスタンスを持つことは、実際に内定辞退者が発生した際の対応を円滑にし、逆に辞退せず入社した内定者を大切にする上でも大きな助けとなるはずです。

 

また、採用活動の各工程の歩留まりを見積もる際には、あらかじめ「内定辞退数」を予想して計算に織り込んでおくことも重要です。この内定辞退数を前提として採用活動を行なえば、仮に内定辞退者が発生した場合でもその影響を最小限に抑えることができるでしょう。 

まとめ

採用活動を行なう上では避けては通れない「内定辞退」ですが、その理由を見てみると実際には企業側に問題がある場合も珍しくなく、適切な取り組みを行なうことでその数は減らせることが分かります。

 

とはいえ、仮にすぐに内定辞退の防止につながらなかったとしても、企業が求職者に最大限寄り添って選考を行なうことは非常に意義のある取り組みといえます。そうした真摯な姿勢が伝われば、内定を辞退せずに入社した求職者もきっと末永く定着してくれることでしょう。この記事の内容が、あなたの企業の内定辞退の防止に役立つことを願っております。

 

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