キャリアプランとは?終身雇用が崩壊する今の時代、企業がサポートする必要性

「あなたのキャリアプランを聞かせてください」――会社の採用人事に携わっている方であれば、応募者の方々に何度も問う機会があるこの設問。今後のキャリアについての展望を聞くことは、応募者の将来性や仕事への向き合い方、自社との相性を図るうえでとても重要なことですよね。

 

しかし人事にとって「キャリアプランを聞くこと」が重要になるのは、新規人材の採用面接のときだけではありません。今回はキャリアプランの概要をおさらいするとともに、組織内の人材がキャリアプランを立てるメリット、実際のキャリアプランの立て方、人事としてのサポート方法などについてご紹介します。

 

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キャリアプランとは?

まずキャリアプランについて簡単におさらいしておきましょう。キャリアプランとは、キャリアを築く当人が自ら、これから目指したい働き方や習得したいスキルなどを具体的にプランニングすることを指します。その人の、仕事に対する中長期計画といえるでしょう。

「キャリアパス」「キャリアデザイン」とどう違う?

キャリアプランと混同しやすい言葉として、「キャリアパス」「キャリアデザイン」があります。それぞれの違いについても把握しておきましょう。

 

キャリアパスは、企業が社員に提示する「昇進・昇格までの道筋」のこと。これからどんな実績を達成すれば役職に就けるのかという、具体的な中長期計画を指します。このような道筋を示すことで社員の成長を促すとともに、自社が求めている人材像を伝えられるところがメリットです。

 

一方キャリアデザインとは、「人生計画」のこと。仕事だけではなく、結婚や出産といったプライベートなことも含めて「どんな人生を歩んでいきたいか」を考えていくことです。

 

どちらもキャリアプランとは異なるワードですが、「これからの人生やキャリアについて考える」という点については同じといえます。キャリアプラン、キャリアパス、キャリアデザインを使い分けながら、今後のキャリアを考えていくことが大切といえるでしょう。

 

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「キャリアプランを立てること」が重視されている背景

では、なぜキャリアプランを立てることが重要視されているのでしょうか。その背景についてご紹介します。

流動的なビジネス業界に対応しやすくなるため

昨今のビジネス業界は、従来の年功序列や終身雇用制が崩壊しています。「一度入社すれば定年まで勤められる」「会社に勤めていれば年功序列でキャリアアップしやすい」という時代は終わり、自分で積極的にスキルを取得しないと昇進や転職といった変化に対応しにくくなっているのが現状です。

 

一方で、社会人が働くべき期間は従来よりも長くなっています。「人生100年時代」という言葉がテレビや雑誌などで囁かれているとおり、平均寿命が延びたことによって従来よりも長い期間「働く」必要性も出てきています。技術進歩も早いことから、新卒時代とシニア時代とでは世情が大きく変わりやすく、「仕事についていけない」「職場に導入された新しいテクノロジーについていけない」という課題が生まれているのも特徴です。

 

このような世情から、スキルアップやキャリアアップに目を向ける社会人が増加。社会人の新たなスキルアップの方法として、仕事を一時的に減らす、もしくは仕事と両立しながら大学や民間スクールに通うリカレント教育も注目されています。キャリアプランを立てることへの注目性が上がったのも、「これから長く続く社会生活の指針を立てて、少しでも将来を安定させたい」というニーズの高まりによるといえるでしょう。

 

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厚生労働省も「生涯を通じたキャリア・プランニング」を推進

人生100年時代に向けて、政府も国民に対してキャリア・プランニングを推進しているところも近年の特徴です。具体的には厚生労働省主導のもと、2008年からジョブ・カード制度の導入などを通して、キャリア・プランニングの重要性をアピールしています。

 

ジョブ・カードとは、「生涯を通じたキャリア・プランニング及び職業能力証明の機能を担うツール」のことです。ジョブ・カードにはキャリアプランシートのほか、職務経歴シート、職業能力証明シート(免許・資格・学歴・訓練歴・実務経験が記載されたシート)が折り込まれており、ジョブ・カード公式サイトのフォーマットを用いて誰でも作成することができます。

 

ジョブ・カードの作成や活用を通して、国民一人ひとりのキャリアプランの見直しや、就職の円滑化を支援するのが狙いです。政府が推進するとおり、生涯を通じたキャリア・プランニングを考えることがますます重要となってきているといえます。

参考:厚生労働省 ジョブ・カード制度

社会人がキャリアプランを考えるメリット

キャリアプランを立てることにより、社会人は今後のスキルアップやキャリアアップの道筋を明らかにすることができるようになります。そのほか、下記のメリットも期待できるところが魅力です。

  • 仕事への目標ができ、モチベーションアップに繋がる
  • 目標の具体化により、スキルアップしやすくなる
  • キャリアチェンジを始めとする大きな転機のきっかけにもなる

企業が社員のキャリアプランを支えるメリット

キャリアプランはあくまで社員が自ら考えるものですが、企業を始めとする周囲がキャリアプランを考える手助けをしてはいけないわけではありません。むしろ企業が社員一人ひとりのキャリアプランを認識し、サポートしていくことで、事業経営にメリットをもたらす可能性さえあるのです。たとえば、次のようなメリットが挙げられます。

目標や成長方針のアドバイスができる(人材育成に繋がる)

1つめのメリットは、キャリアプランに関する面談を通して、社員一人ひとりの目標や成長方針を把握し、アドバイスできることです。社員のコーチングにもなり、よりよい人材育成に繋がりやすくなります。

 

終身雇用の時代とは異なり、一生その企業で働きたいと考えている人は以前に比べて少なくなっています。だからこそ、従業員が目指しているキャリアプランを理解し、支援していくことが、従業員に長く活躍してもらうためには有効になっているのです。本人のキャリアプランを尊重しながら会社の成長も目指す。今の時代は、こうした考え方が大事になってくるかもしれません。

 

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「目標を持たない・持てない社員」を早めにフォローできる

2つめのメリットは、キャリアプランをうまく作れない社員を早めにサポートできることです。社員の中には「キャリアプランを立てよう」と思っても、仕事への明白な目標を持てず、悩んでしまう人もいます。またキャリアプランを立てることはできるものの、「普通すぎるのではないか」と納得できないばかりに、実現に至らない人も珍しくありません。そのような社員の早期フォローがしやすくなるところがメリットです。

人材の流出を防ぎやすくなる

3つめのメリットは、人材の流出を防ぎやすくなることです。キャリアプランからはキャリアチェンジ願望など、自社を出て行く選択肢が見えることもあります。転職を含むキャリアチェンジを強引にやめさせることはもちろんできませんが、自社でも当人の望む経験を積めることを説明したり、望むスキルが積める部署への異動を提案したりなど、当人の目標に沿った早めの対応は可能です。社内で本人が希望する仕事があるのであれば、支援する。もちろん、部署の人員との兼ね合いもありますが、こうして人材を有効活用させていくことが大事です。

 

これら3つの点を鑑みても、企業が社員のキャリアプランを把握・サポートするメリットは大きいといえるでしょう。

「実現が難しいのでは…」と感じるキャリアプランへの対処法

ただし、社員のキャリアプランはときに「実現が難しいのでは…」と感じられることもあります。ただ従業員の考えている通りに異動させても、会社として成長を望めないのであればやめるべきでしょう。ここでは、注意すべき社員のキャリアプランの傾向を2つピックアップしました。

「理想を追いすぎているプラン」への対処法

注意すべき1つめの傾向は、理想を高く持ちすぎているキャリアプランです。極端な例ですが、「1年後に年収3000万円になる」など、本人の実力と比較しても、現実的に実現が極めて難しい目標が設定されているケースが該当します。

 

理想を高く持つことは、決して悪いことではありません。しかし実現しにくい目標を立てる人は自己分析がやや甘く、結果的にキャリアプランも機能しない可能性が高いです。10年後、20年後といった長期的な目標が高いだけなら問題はありませんが、直近の目標も実現が難しそうであれば、キャリアプランの更なる具体化を勧めるのが好ましいといえます。同様に、キャリアプランが現状維持に寄っている場合も、「成長プランの具体化」を勧めるとよいでしょう。

「自社のこれからを考えると実現が難しいプラン」への対処法

注意すべき2つめの傾向は、個人のキャリアプランに問題はないものの、会社の事情で実現が難しいプランです。

 

たとえば「この部署でこれからも経験を積んでいきたい。その上で、仕事の知識を深めるために資格取得も目指していきたい」という社員のキャリアプランに対し、企業側の事情で部署の縮小が決まっている場合が例として挙げられます。部署の縮小に際し、「まだこの部署でしっかり経験を磨きたい」という社員に、別部署への転属を命じざるをえなくなる…ということも十分ありえる状況です。これは当然で、会社は人的リソースの有効活用によって会社を成長させていくわけですから、それが実現できないのであれば、希望はかなえられません。

 

ただし、企業側としては、このような「社員のキャリアプランと会社の現実のギャップ」に気づいた時点で、何らかのアクションを取ることがおすすめです。対策としては、部署にかかわらず受講・成長できる研修を設けたり、他部署との交流・情報交換をしやすくしたりする方法があります。どの部署でも当人の望むキャリアプランに近い経験を積めるよう配慮することで、会社の事業計画と社員のキャリアプランとのギャップを最小限に抑えやすくなるでしょう。

 

これらの対応を疎かにすると、「事前に部署に残留したい意思を伝えていたのに、別部署に飛ばされた」「キャリアプランを伝えていたのに、会社はまったく協力してくれない」などの不満を持たれやすく、最悪人材流出のリスクにも繋がってしまいます。キャリア面談などで、社員一人ひとりのキャリアプランを把握し、丁寧に対応していくことが大切です。

【おすすめフロー】キャリアプランの立て方

社員とキャリア面談をすると、「どのようにキャリアプランを立てたらいいのかわからない」という相談を受けることもあります。キャリアプランの立て方としては、以下の流れを基準に考えていくことがおすすめです。

 

<キャリアプランを立てるフロー>

▼自己分析をする

最初のステップは従業員の自己分析です。これまでの社会生活を振り返り、どんなときに喜びややりがいを感じたのかを洗い出していきます。自分の中にこれといったものがない場合は、「何に憧れたことがあるか」「自社の顧客のうち、どんな人を応援したいと思ったか」というように、他者を起点に考える方法もおすすめです。自分が興味を持てそうなことがないかを探してみましょう。

▼理想の自分を思い描く

自己分析によって自分が興味を持てそうなことを洗い出したら、「これからどんなキャリアを積めば、興味を持った仕事を実現できそうか」を考えます。興味を持った仕事を実際にこなしている理想の自分を想像した上で、所持しているスキルやノウハウに至るまできちんとイメージすることが大切です。

▼短期~長期的な目標に落とし込む

「理想の自分」をイメージしたら、1ヶ月後、半年後、1年後、5年後、10年後にどんなステップを踏めば理想の自分に近づけるのかを考え、目標を具体化していきましょう。

キャリアプランシートを活用する

「キャリアプランが立てにくい」と社員が迷っているときは、キャリアプランシートの活用を勧めてみてはいかがでしょうか。キャリアプランシートとは、厚生労働省が「ジョブ・カード制度」の一環として提供しているシートのことです。これまで就学中に学んだことや、職務経歴、取得した資格や免許などの項目があり、このシートをもとにキャリアコンサルティングを行なうこともできるようになっています。シートは厚生労働省のHPからシートをダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

まとめ

キャリアプランの概要や、組織内の人材がキャリアプランを立てるメリット、実際のキャリアプランの立て方、人事としてのサポート方法などについてご紹介しました。企業が社員のキャリアプランを把握し、実現をサポートすることで、人材育成の促進や人材流出の防止といった様々なメリットを得ることができます。ぜひ参考にしてみてください。

 

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