ケイパビリティとは?競争力向上や事業拡大に欠かせない理由を解説!

さまざまな企業のグローバル化やIT技術の革新が進み、市場もどんどん複雑化して先の見えにくい時代になっている昨今。企業同士の競争も激化しており、外部環境を重視した経営戦略だけでは生き残りが難しくなってきています。

 

そこで近年において有効的だとされているのが、各企業の「ケイパビリティ」を軸とした考え方。ケイパビリティとは、大まかにまとめると「強み」を示すものです。本記事ではその言葉の意味を紐解くとともに、各企業でどのように活用していくべきか詳しく解説していきます。

 

CHECK!

採用でお困りではないですか?

 

無料で求人を掲載したい方は、engage(エンゲージ)に無料登録を。Indeedをはじめ、求人ボックス 、スタンバイ、Googleしごと検索などの求人サービスにも自動で掲載されます各社の掲載条件を満たした場合

 

engage(エンゲージ)の導入社数は、40万社を突破。東証一部上場のエン・ジャパンが手掛けるサービスですので、安心して利用いただけます。(無料)

 

ケイパビリティとは

それではまず、ケイパビリティの意味や細かな定義など、言葉の概要を説明していきます。

ビジネスシーンにおけるケイパビリティの定義

そもそもケイパビリティとは、直訳すると「能力」や「素質」という意味があり、一般的には「~にとってできること」のような使い方をする言葉です。それが転じてビジネスシーンでは、簡単に言うと「組織の総合力」を指す用語として広まっています。

 

単純に「組織力」というだけでなく、「組織としての優位性」という意味も含んでおり、「組織を運営する上で生まれた強み」というのが近いニュアンスでしょう。ただし強みといっても単体的なものではなく、組織内のさまざまな体制が連携することによって生まれる特性こそがケイパビリティです。たとえば生産から流通までのスピード感や、受注からエンドユーザーに届くまでのコストなどが考えられます。

 

企業におけるいくつもの内的要素が絡み合って生じる優位性であり、簡単に模倣できない「原動力」となるため、経営戦略にも欠かせない要素として注目されているのです。

コアコンピタンスとの違い

そのほかにもケイパビリティと似たように「企業の強み」を示す「コアコンピタンス」という言葉があります。混同しやすい用語ではありますが厳密には意味が異なるものです。そこで以下から、その違いについて説明していきます。

ケイパビリティとコアコンピタンスの図

独自性を決定付けるのがコアコンピタンス

「コアコンピタンス」は分解すると、「コア」が「中核」、コンピタンスが「能力」や「権限」といった意味を示します。そこから派生して、ビジネスシーンでは各企業の「中核的な技術」を示す言葉として使われています。

 

ケイパビリティと同様に、他社に対する優位的な特性を指していますが、コアコンピタンスは事業発展の足掛かりとなる要素と言うほうが近いでしょう。たとえば自社のヒット商品Aがあるとします。他社の製品にはない機能を実装できる技術が「コアコンピタンス」、商品Aを生産して流通し多数の消費者に向けて販売できる能力が「ケイパビリティ」です。

 

コアコンピタンスは前述の例にあるように、「技術」と解釈するのが分かりやすいでしょう。なおそのほかにも、話題になりやすい独自の宣伝方法や限定的な素材を使った商品開発というような、特定の能力も「コアコンピタンス」に当てはまります。

ケイパビリティとのつながりもある

コアコンピタンスもケイパビリティも、双方に共通しているのが自社の成長に大きく影響するという部分です。たとえば、先ほどの項目でも例に挙げた商品Aで考えるとします。独自の機能を実装する技術(コアコンピタンス)があっても、それを実現するための生産体制(ケイパビリティ)がなければ商品Aを生み出すことはできません。

 

つまりケイパビリティがあるからこそコアコンピタンスが生じるのであって、どちらも企業としての独自性・優位性には欠かせない要素と言えます。経営戦略を立てる場合に、その計画の狙いとなるのが「コアコンピタンス」で、計画を実行する力が「ケイパビリティ」というわけです。そしてどちらかと言えば、「ケイパビリティ」はビジネスの過程を示しています。

ケイパビリティが必要とされる理由

それではなぜ、近年になってケイパビリティの概念が広まり始めているのでしょうか。その背景には、次のような要素があるとされています。

 

・事業環境の激しい変化

IT技術が発達したこともあり、SNSやインターネットなどによる情報共有も簡単にできる時代です。それに伴って、消費者のニーズが多様化し、市場の変化もどんどん激しくなっています。さらには不安定な社会情勢もあり、各企業が生き残っていくには、それぞれが確固たる地位を築かなければならない状況とも言えるでしょう。そこでケイパビリティにもとづいた事業展開により、各企業が確かな需要を獲得する必要があると考えられているのです。

 

・スピード感のある技術革新

技術の進歩がどんどん進んでいることもあり、製品やサービスの単純なオリジナリティや価格といった面では競争しづらい現状があります。そうした中で選ばれ続ける企業となるためにも、ケイパビリティの要素を活かした経営をしていくことが不可欠であるとされているのです。

ケイパビリティの向上によって見込める効果

ではケイパビリティを高めることによって、実際に自社に対してどのようなメリットが生まれるのか説明します。

同業他社との差別化が図れる

ケイパビリティは自社の「優位的な総合力」であり、競合よりも優れたサービスや製品を生み出すためには、まずケイパビリティを向上させることが欠かせません。

 

先ほどからも出てきているように、企業としてのコアコンピタンスを実現させるのがケイパビリティです。たとえば各企業の生産体制や人員の動かし方自体が、結果的にオリジナリティになっていくケースも多くあります。このような数多くの顧客や消費者から選ばれるケイパビリティを磨いていくことで、同じ市場の中でも確かな需要を獲得できる独自性へとつながっていく効果に期待できるのです。

継続的なニーズを獲得できる

ケイパビリティを高めることで、さらなるコアコンピタンスが誕生する可能性も大きくなります。ケイパビリティとコアコンピタンスとの関連性が深いからこそ、今までとは異なるものや複数の独自性が生まれる効果に期待できるでしょう。

 

またケイパビリティによって単発的ではないオリジナリティや独自性が生じれば、結果的にニーズを獲得し続けることにつながります。そして高いケイパビリティを通して、安定的な供給量かつ付加価値の高い製品やサービスを提供していくことで、顧客や消費者に対する安心感も与えられることになるのです。そうすることで自社の製品やサービスが求められ続ける土台を確立できます。

長く生き残れる組織構築につながる

ケイパビリティは組織としての総合力であり、たとえば社内のメンバー同士での連携や企業風土なども含まれます。このような組織の内部的な体制を強化することでケイパビリティも向上するため、最終的には企業としての強固な基盤を築くことにもつながるのです。

 

また組織力が高まることによって確かな成果が継続的に生まれるようになれば、従業員のエンゲージメントやモチベーションの支えにもなると考えられます。その結果、人材の定着率アップにも期待でき、より良い環境づくりにも影響すると言えるでしょう。こうした安定性のある土壌ができていけば、先を見据えた企業運営を実現させることにもなるのです。

ケイパビリティを高める取り組み

次からはケイパビリティを高めるためには、企業としてどのような動きをしていくべきか、その一例を挙げていきます。

現状の把握と方向性の決定

大前提として、まずは自社のケイパビリティを知ることから始める必要があります。そのためにも、現在における自社の状況を把握しなければなりません。

 

たとえば生産などの各工程や部署における強みのリストアップをするなど。どのような得意分野があるのか・今の業務フローにどう影響しているか、というように細かく分析していきます。そうすることで、自社の製品やサービスにどんな付加価値を生み出しているのかリサーチしていきましょう。そしてこのデータをもとに、自社のケイパビリティを定義化することで、今後の組織としての方向性を決定。そこからようやく、具体的な戦略や計画を立てるなどの動き出しができるようになります。

体制の見直し

ケイパビリティを高めるための方向性が決まったら、次はそれに沿って社内の体制を見直すフェーズに入ります。

 

たとえば、商品Aの生産体制をケイパビリティとした場合。1つの要素として、製造現場における職人の手による精度の高さがあり、この部分を強化したいと考えたとします。そこでもし継承する人材がいないのであれば、新たに採用したり配置転換をしたりなどの人員の組み直しが必要になるでしょう。ケイパビリティの定義付け⇒プランニング⇒実行の流れの中で、最初の現状把握からさらに社内の詳しい状況を見直すことで、より的確な行動につながります。

人材の強化

自社の事業を支えているのは、やはり実際に業務を遂行する人材であり、このリソースを充実させることはケイパビリティの向上に大きく影響すると考えられます。

 

たとえば人手を増やすことのほかに、一人ひとりのポテンシャルを引き出すための教育を実施するなど。業務に直結する指導だけでなく、教養や自己啓発力などを高めるサポートを行なうことで、より幅広い能力を磨くことになります。優秀な人材を採用することも重要ではありますが、今社内にいる人材の強化を図ることは、結果として組織力の底上げにつながると言えるでしょう。

ケイパビリティは人材採用との関係性も深い

先述にもあるように、ケイパビリティにつながる要素として関係が深いのは「人材」です。だからこそ、ケイパビリティの向上による人材採用への影響も大きく、いくつものメリットにもつながります。

応募者の母数を集められる

ケイパビリティがあるということは、当然ながら企業としての優位性も高いということです。たとえばこの点を人材採用にあたってアピールポイントとして打ち出すことで、数多くの応募者数が集められます。

 

また応募者の母数が大きくなれば、その分優秀な人材に出会える確率も高くなるとも言えるでしょう。新規採用によって、自社に適した能力の高い人材を確保できれば、それがさらにケイパビリティにつながります。そしてどんどん組織の基盤を強化していける好循環を生み出すことにもなるのです。特に人材の確保が難しくなっている昨今においては、ケイパビリティのような自社の強みを発信していくことが非常に重要だと考えられます。

 

en-gage.net

マッチング率が高まる

外部の人間の目にもケイパビリティが明確になっていれば、たとえば企業の方針や強みに合った人材が自然と集まるようになります。「自分のこんな能力がこの部分に活かせる」というのが分かりやすくなり、求職者側としても漠然とではなく、しっかりとした目標や将来像を持ってその企業を選べるようになるためです。

 

簡単な例を挙げるとすれば、機械による大量生産ではなく、人間の手が加わった精巧な製品づくりができる体制をケイパビリティとしている場合。ただ「製造業が向いているから」というだけでなく、「手先の器用さが現場に活かせる」という人材が集められるようになります。そして自社にマッチした人材が獲得できれば、それもさらに自社のケイパビリティにつながると言えるのです。

ケイパビリティを活用する場合の注意点

企業としての強い基盤を構築するのにケイパビリティは欠かせませんが、当然ながら時代の流れや事業環境の変化に応じてアップデートしていく必要があります。

 

つまり現状のケイパビリティをもとに、さらに新たに有効的なケイパビリティへと刷新する柔軟な対応をしていかないと、古い価値観に固執した組織になってしまう可能性が高いのです。そうならないためにも常に新しいニーズをキャッチしながら、経営陣の先見の明によってケイパビリティを創出していかなければなりません。ちなみにこうした企業としての動き方を「ダイナミック・ケイパビリティ」と呼びます。

まとめ

ケイパビリティは、企業として成長し続けるために不可欠な要素です。そしてケイパビリティにもとづいた経営戦略を立てることで、安定した業績やさらなる事業発展につながると考えられます。またケイパビリティを存分に活用するためには、まずは自社の状況を十分に把握することが必要です。ケイパビリティに目を向けることで、企業としての現状や将来性を見つめ直す良い機会にもなるため、ぜひ一度意識してみてはいかがでしょうか。

 

CHECK!

採用でお困りではないですか?

 

無料で求人を掲載したい方は、engage(エンゲージ)に無料登録を。Indeedをはじめ、求人ボックス 、スタンバイ、Googleしごと検索などの求人サービスにも自動で掲載されます各社の掲載条件を満たした場合

 

engage(エンゲージ)の導入社数は、40万社を突破。東証一部上場のエン・ジャパンが手掛けるサービスですので、安心して利用いただけます。(無料)

 

engage

採用ガイド編集部

engage採用ガイド編集部は、人材業界で長く活躍している複数のメンバーで構成されています。人材業界で営業や求人広告ライターなどを経験したメンバーが、それぞれの得意領域を担当し、専門的な知識に基づき執筆を行っています。

engage採用ガイド編集部は「採用に悩む経営者・人事担当者の頼れる相談先」としてこれからも日々情報をお届けしていきます。 ※engage採用ガイドはエン・ジャパン株式会社が運営している情報サイトです。