オンボーディングとは?意味、メリット、導入方法、離職率低下の成功事例を解説

最近、あらゆるところで「オンボーディング」という言葉を聞くようになりました。採用活動においても「オンボーディングは不可欠だ」なんて話も良く耳にします。でもこの「オンボーディング」の意味をちゃんと説明できますか?

 

「ヤバイ、理解できていないかも…」と思った方も、ご安心ください。この記事ではオンボーディングについて丁寧に解説しています。言葉の意味だけでなく、なぜオンボーディングが注目されているのか?その背景まで理解すると質の高い採用活動を考えることができるようになります。ぜひ貴社の採用活動に活かしてください。

※この記事は2020年6月4日に公開した記事を再編集しています

 

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オンボーディングとは?

オンボーディングは、「船や飛行機に乗っている」という意味の「on-board」から派生した言葉で、新しい乗務員が早く軌道に乗るようにサポートする意味合いです。採用では、新たに採用した人材の「受け入れ~定着・戦力化」を行なうためのプロセス・施策を指します。

オンボーディングとは

一般的な入社後研修やオリエンテーションと異なる点は、入社後直後のイベントではなく、中長期的な取り組みであるということ。新卒入社の社員だけではなく、中途入社者も対象になります。さらに言えば、雇用形態も問いません。入社してくれた仲間を受け入れ、定着化させ、戦力化する。これはどんな採用であっても必要になってくる考えです。

オンボーディングが注目されている背景

では、なぜオンボーディングが注目されているのでしょうか?詳しく解説していきます。

定着率が低下しているから

厚生労働省が公表している「新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)」を見ると、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者が39.3%、新規大卒就職者が31.8%でした。

 

つまり、新卒者の3割以上が、入社後3年以内に離職しているのです。

 

同調査によると、新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は、平成元年では27.6%でしたが、平成27年では31.8%に。徐々に定着率は下がってきていると言えます。

 

新規学卒就職者の離職状況

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)


定着率の低下は、時間と費用をかけて採用・育成に投資している企業にとって手痛い損失「いかに組織に定着させるか」「採用した人材が活躍できる環境をいかに作るか」が企業の重要な課題になっています。そこで、注目されているのがオンボーディングです。

 

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多くの企業が中途入社者の定着にも課題を感じている

新卒社員の定着率が低下している一方で、中途入社者の定着に課題を感じている企業も少なくありません。下記は、エン・ジャパン株式会社が「中途入社者の定着について」というテーマで、企業に対して行なったアンケート結果(有効回答数:720)です。

 

中途入社の定着についてのアンケート

出典:人事のミカタ 中途入社の定着について

 

社員の定着率向上について「積極的に取り組む」という回答が62%にものぼっており、課題感を感じている企業が多いことがうかがえます。

 

新卒社員、中途入社者問わず、定着率の低下は、時間と費用をかけて採用・育成に投資している企業にとって手痛い損失。「いかに組織に定着させるか」「採用した人材が活躍できる環境をいかに作るか」が企業の重要な課題になっています。そこで、注目されているのがオンボーディングです。

定着率が下がってしまう3つの理由!

では、なぜ会社を辞めてしまうのでしょうか?

 

エン・ジャパンは2013年頃から、サービス利用者に対して定着支援を行ない、年間約6万人の入社・定着支援から、早期離職に大きく影響を与える要因は3つあることがわかりました。

 

それが、「ギャップ(Gap)」「リレーション(Relation)」「キャパシティ(Capacity)」です。ここで1つずつ説明していきます。

 

GRC

ギャップ(Gap)

「ギャップ(Gap)」とは、入社前に会社に抱いていた「期待」と「現実」の乖離のことです。

 

たとえば、求人広告・面接で聞いた内容と実情の違いや、仕事内容に対する想像と実際の業務内容のギャップなどが挙げられます。「思っていたのと違った…」というギャップを感じたままだと、職場に馴染めず、成果も出ません

 

本人は「この会社と合わないかもしれない」と考えてしまったり、会社側は「期待はずれだったかもしれない」と評価してしまったりして、早期離職を招く原因になるのです。

リレーション(Relation)

「リレーション(Relation)」とは、「直属の上司との関係性」のことです。

 

入社者は現場に配属されると孤独です。面接官とは深い話をしていたとしても、現場とはそうではありません。そんな中、直属の上司しか頼れる人がいないのです。

 

その上司とコミュニケーションが取りにくく、よい関係性が築けないと、孤独感は深まります。入社者は適切なサポートを受けられず、成果が出せません。その結果、「自分の居場所はここじゃない」と思ってしまうのです。

キャパシティ(Capacity)

「キャパシティ(Capacity)」とは業務量の過多、または過少のことです。

 

まだ仕事に慣れていないのに、既存社員と同じ業務を任され、本人にとって大きな負担がかかってしまう。迷惑をかけないように必死になり、心身ともに疲弊してしまう。「こんなはずじゃなかった」と思わせる原因になります。

 

一方で、業務が少なすぎても離職につながるのです。

「単純作業しか任されていない、期待されていないのかも」
「周りが忙しそうにしているのに、自分だけ手が空いていて気まずい」

業務の少なさに不安・不満を感じ、早期離職につながる場合もあります。

 

退職のメカニズム

企業がオンボーディングを行なう5つのメリット

定着率や早期離職の課題を抱えている企業は、オンボーディングを強化することが大切です。ここでは、企業がオンボーディングを行うとどんなメリットを得られるか、ご説明します。

新入社員の離職防止

新入社員の離職が起きると、その育成に関わった社員や職場全体のモチベーション低下を招くリスクがあり、ほかの社員の連鎖的な離職につながることも考えられます。


オンボーディングを行うことによって、新入社員の定着・戦力化を実現し、ほかの社員にもポジティブな影響をもたらすことができます。

採用コストの削減

入社後3ヶ月で社員1名が辞めた場合、企業の損失額はいくらになると思いますか?じつは損失額は総計187.5万円にも上るという試算があります。

 

早期退職による損失額

 

内訳は以下の通りです。

◆採用経費:62.5万円
 ◇採用単価:60万円
 ◇人事および現場社員の人件費:2.5万円

◆在籍費用:112.5万円
 ◇総人件費(月額):112.5万円

◆教育研修費:12.5万円
 ◇外注費等の直接経費:5万円
 ◇人事および現場社員の人件費:7.5万円

せっかく時間と費用をかけて採用活動を行っているのに、気づいたときには水の泡になってしまうのは、避けたいですよね。オンボーディングを行なうことで入社の定着率が上がれば、採用コストは無駄になりません。定着・活躍してくれることで、将来の売上・利益に寄与することが期待できるようになるのです。

 

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人材の早期戦力化

新入社員はイチから業務を覚え、また、業務に必要なスキルや知識を身につけなければいけません。そのため、戦力になるまでは約1年かかるとも言われています。しかし、オンボーディングを行なえば、教育期間を短縮することができるため、新入社員の早期戦力化を期待できます。

 

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企業への愛着が増す

オンボーディングを通してコミュニケーションしていく中、丁寧にフォローしてもらった経験は入社者にとって安心感につながります。

「何でもすぐに相談できる関係になった」
「業務量は適切に調整してもらえた」

このような経験があると、会社に対して信頼感が生まれ、居心地良くなり、この会社で長く働きたいと思うようになるでしょう。

従業員満足度が高くなる

オンボーディングによる密接なコミュニケーションや早期に組織に馴染む施策を行うことで従業員満足度が高くなります。従業員満足度の向上は社員のモチベーションや組織の定着率、生産性にも良い影響を与えます。


オンボーディング施策を整えて、従業員満足度を上げることで様々なメリットが挙げられます。

オンボーディングに対する企業の現状

注目度が高まっているオンボーディングですが、オンボーディングを意識している企業はどれぐらいあるのでしょうか。ここでは、エン・ジャパン株式会社が主に企業の人事や経営者を対象に実施したアンケート結果をもとに、オンボーディングに対する企業の現状を見ていきましょう。

オンボーディングを知らない企業は56%

そもそも、「オンボーディング」という言葉を知っている企業はどれぐらいなのでしょうか?アンケートで質問したところ、「知らない」と回答した企業は56%にのぼりました。

「オンボーディング」という言葉の認知度

出典:エン・ジャパン株式会社 『中途入社者のオンボーディング』と『入社後活躍』 に関する調査・分析 ~甲南⼤学 尾形教授との共同研究~

オンボーディングに力を入れていない企業は53%

続いては、オンボーディングに注力している企業の割合をお伝えします。アンケートで「中途採用者のオンボーディングに力を入れていますか?」と質問したところ、「どちらかと言えば力を入れていない」と「力を入れていない」の合計は53%でした。

オンボーディングに力を入れている企業の割合

出典:エン・ジャパン株式会社 『中途入社者のオンボーディング』と『入社後活躍』 に関する調査・分析 ~甲南⼤学 尾形教授との共同研究~

企業はいち早くオンボーディングに取り組むべき

オンボーディングは企業に多くのメリットをもたらしますが、注力していない企業が多いという現状があります。つまり、いち早くオンボーディングに取り組めば、競合他社などに比べ、人材育成や企業経営といった面で優位に立てることにつながっていきます。

オンボーディングを導入するためのプロセス

オンボーディングを導入するためには以下の5つのプロセスが必要です。

  • 目標の設定
  • プログラムの設計
  • オンボーディングチームの選定
  • 運用開始
  • フィードバックと振り返り

オンボーディング(定着化・戦力化)ができないことは企業と入社者双方にとってマイナスでしかありません。新しい仲間が早期に活躍・定着できるように正しいプロセスで導入しましょう。

目標の設定

オンボーディングとは前述したように新たに採用した人材の「受け入れ~定着・戦力化」までを指します。そのため、各プロセスでの目標を設定おく必要があります。

受け入れ期間:組織の文化や風土の理解、役割や機期待の名言化

定着化:チームとの連携・円滑なコミュニケーション、従業員満足度

活躍化:期待した役割を実践 など

それぞれの期間で「どのような状態になっていた欲しいのか」などを明確にしておきましょう。業務に関する定量的な目標だけでなく、社員とのコミュニケーションや自社になじんだのかなど定性的な項目も目標として立てておきましょう。

プログラムの設計

オンボーディングの目標が定まったら、目標を実現するためのプランを設計します。
プログラムの一例として以下があります。

  • 入社後研修(組織文化、役割、社内ルール)
  • 従業員とのランチ会(顔合わの場)を設定 
  • 業務に必要な研修
  • 1on1  
  • 挑戦的な目標の設定 など

社員が定着、活躍化するまでには3か月~1年程度かかります。そのため短期的なスケジュールと長期的なスケジュールの2軸でプログラムを考えるようにしましょう。   

オンボーディングチームの選定

新たに採用した人材の「受け入れ~定着・戦力化」ためには組織全体でチームを組んで動く必要があります。例えば、人事、上司、同僚、トレーニング担当者など複数の人間が動くことになるので、チームメンバーをしっかりと決めておく必要があります。

  • 人事: 新社員の受け入れやオンボーディングプロセスの全体を管理
  • 上司:直属の上司として、役割や期待の説明、フィードバックの実施などを担当
  • 同僚:チームの文化や業務についての支援を行う
  • トレーニング担当者:トレーニングや教育プログラムを設計・提供
運用開始

ここまでで事前準備は完璧です。

後は、新たに採用した人材の入社が決まったらオンボーディングのプログラムを実践していきます。

フィードバックと振り返り

定期的にオンボーディングの進行状況を振り返りましょう。今回新たに入社したメンバーへの改善はもちろんですが、今後入社してくるメンバーのためにも改善できる箇所が無いかオンボーディングチームメンバーで意見を出し合いましょう。

 

実際にオンボーディングをうけた新しい社員にも面接やアンケートを用いて、オンボーディングプログラムへの意見を募りましょう。

  • 入社後研修の内容はどうだったか?(受け入れ)
  • 従業員との円滑なコミュニケーションは取れたか?(定着)
  • 任された業務への説明は十分だったか?(活躍)
  • 不満や不足を感じた点はあったか(受け入れ~活躍) など

オンボーディング全体を通して「今回のプログラムはどうだったのか? 」「次回に向けて改善できる箇所がないか。」振り返りを行いましょう。

オンボーディングのプログラム例

上記でお伝えしたオンボーディングのプログラムについて、1つずつ詳しく説明していきます。

入社後研修

新入社員(新卒・中途問わず)の自社の企業文化への理解、入社後に携わる業務や期待されている役割、社内の規則やルールの理解などを目的に実施される入社後研修。座学を通じて実施されるケースが多い傾向にあります。

従業員とのランチ会

従業員の業務中は、新入社員と関わる機会を設けることが難しいケースも少なくありません。そこでおすすめなのが、お昼休みに交流の時間をつくることです。休憩中ということもあり、先輩社員の人柄などもわかりやすいでしょう。会社としては、ランチ代を支給するといった工夫も有効です。

業務に必要な研修

仕事をするうえで必要な知識やスキルなどを身につける研修です。座学だけでなく、ロールプレイングや実務も交えて実施することで、新入社員の知識やスキルの定着を期待できるでしょう。また、研修にはできるかぎり、現在その業務に携わっている社員に参加してもらい、業務の説明をしてもらうほうが、新入社員の理解促進につながります。

1on1

1on1とは、「上司と部下・メンバーが一対一で行なう面談」のこと。面談といっても堅苦しいものではなく、仕事の進捗や業務における疑問などを、部下・メンバーがざっくばらんに上司に話をします。部下やメンバーの成長を中長期的にサポートできることや、不安・不満の解消による社員定着率の向上などを期待できます。

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オンボーディングを強化するためにやるべき5つのこと

オンボーディング(定着化・戦力化の支援)を強化するためにやるべきことは、先ほどの「ギャップ(Gap)」「リレーション(Relation)」「キャパシティ(Capacity)」が起きないように工夫することです。

具体的に以下の5つのポイントを解説していきます。

  • 募集段階で良いことだけを伝えない
  • 教育体制を整備する
  • 目標の細分化を行う
  • メンター制度を導入する
  • 頻繁にミーティングを行う
募集段階で良いことだけを伝えない

なぜギャップが生じてしまうのでしょうか。それは、求人情報や面接情報と現実に乖離があるからです。たとえば、求人広告には「フレンドリーな社風で、社員同士なんでも聞ける関係」と書いてあったのに、入社してみると、みんなイヤホンをして作業をし、話しかけづらい…という場合、ギャップが生まれますよね。

 

つまり、ギャップの原因は入社前の募集段階、選考段階にあります。採用活動では応募してほしいがゆえに良いことだけを伝えてしまいがち。しかし採用はゴールではありません。定着してはじめて採用成功になるということを肝に銘じておかないと、採用できてもすぐ退職になり、再び採用しなければならず、費用も余計に掛かってしまいます。

 

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教育体制を整備する

企業の理念や考え方、業務フロー、交通費の申請方法など、新入社員が覚えたり学んだりすることは、たくさんあります。そのため、入社してすぐに成果をあげることは簡単ではありません。

 

新入社員になるべく早く社内のやり方やルールなどを覚えてもらうには、教育体制を整備することも大切です。たとえば、新入社員が効率的に学べるように、マニュアルなどを作成するのも効果的でしょう。

 

また、OFF-JTとOJTを通じて社員を教育していくことが一般的ですが、OFF-JTの担当者とOJTの担当者で教え方などに違いがあれば、新入社員は混乱してしまうかもしれません。両担当者が事前にしっかりとすり合わせなどをしておくことで、新入社員への教育はスムーズに進むでしょう。

 

教育体制の整備は、Gapを生じさせないことにもつながっていきます。

 

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目標の細分化を行う

オンボーディングの目的は新たに採用した人材の「受け入れ~定着・戦力化」です。
そのため、定着・戦力化を促す目標設定をする必要があります。定着・戦力化を促すおすすめの目標設定方法が、目標を細分化して行うスモールステップ法」です。


スモールステップ法とは、「目標を細分化して簡単な小さい目標を1個ずつ達成していくこと」です。最初から高い目標を掲げてしまうと、乗り越えるのが難しかったり、乗り越えられずに挫折してしまう可能性があります。


そのため、最初は小さくて簡単な目標を掲げ、目標を達成する成功体験を繰り返し経験させることで定着・戦力化に近づいていきます。

オンボーディングのためのスモールステップ法

メンター制度を導入する

早期に定着・戦力化させるためには前述したようにスモールステップで成功体験を繰り替えし経験することをあげました。では、目標設定や達成のためのフォローはどのようにすべきなのでしょうか?  


それがOJTで新しい人材をサポートしていくメンター(教育係)制度です。


メンターが定期的な面談を実施し、目標のすり合わせや目標達成の課題になっている事象の相談に乗り、サポートします。メンター制度を導入することで、目標達成の成功体験を早期に積み上げることができ、定着・戦力化に繋がるのです。


そのためにオンボーディングの取り組みを行う際は、トレーナー制度の導入を検討すべきと言えます。

頻繁にミーティングを行う

リレーションを築くには、細かなコミュニケーションが大事です。ポイントは、短くてもいいので、できるだけ多くのコミュニケーションを取ること。

 

たとえば、月に1回1時間使ってコミュニケーションをとるよりも、1日5分でもいいので、毎日話をする機会を作る。頻度コミュニケーションを取ることで、話しかけやすくなっていき、信頼関係が築かれるようになります。

 

また上司だけではなく、他の社員に協力してもらうのも良いでしょう。たとえば別の部署の社員に協力してもらい「最近不安なことないか?」「会社で分からないことはないか?」など業務と関係ないことを話す時間を設けるのもアリです。こうした気軽に話せる人がいるだけで、心理的にはとてもラクになります。

 

業務のキャパシティが溢れてしまう問題も、上司やまわりとコミュニケーションをうまく取れないことから起きてしまうこと。上記の通り、細かくコミュニケーションを取れていれば解決できます。

オンボーディングのスケジュール

オンボーディングのメリットや導入するためのプロセスなどを説明してきましたが、続いては、具体的に何をどんなスケジュール感で実施すればよいのかについてお伝えしていきます。

 

下記は、オンボーディングのスケジュール例。

 

▼オリエンテーション(実施日の目安:初日~1週間)

▼自社の部署紹介(実施日の目安:初日~2週間)

▼業務に関する研修やトレーニング(実施日の目安:初日~1ヵ月)

▼面談とフィードバック(実施日の目安:2週間~1ヵ月)

▼目標設定とフィードバック(実施日の目安:1ヵ月目以降)

 

では、1つずつ説明していきます。

オリエンテーション

入社の際に必要な手続きや自社の規則・ルールの説明などを行ないます。1~3日間という短期間で実施される場合も多いです。オリエンテーションの主な内容は下記です。

  • 入社に必要な書類の提出や手続き
  • オフィス案内や社内ルール、社内設備などの説明
  • 自社の歴史や企業理念の説明
  • 基本的な業務の概要
自社の部署紹介

新入社員に自社の全体像を理解してもらうためにも、できるだけ多くの部署やその部署で働く従業員を紹介することをおすすめします。新入社員にとっても、社内に一人でも多くの知り合いがいることは安心につながったり、業無をスムーズに進められることにつながります。

業務に関する研修やトレーニング

業務の遂行に必要な知識やスキルを身につけてもらいます。まずは座学を中心に実施、適宜、実務形式の研修も交えていくといいでしょう。研修やトレーニングの実施期間は、業務の内容やレベルなどによって決めることをおすすめします。

 

たとえば、覚えることや身につけるべきことが多いにもかかわらず、研修やトレーニングを短期間で済ませてしまうと、新入社員は不安に感じ、早期離職につながる恐れが生じます。

面談とフィードバック

主に、研修やトレーニングに関する話をし、フィードバックを行ないます。研修での不明点やつまづきなどをヒアリングし、解消に努めていきましょう。

 

また、入社から間もないこともあり、新入社員は知らないことやわからないことがたくさんあります。そのため、この時期の面談では、業務上の不明点や不安を解消してあげるという意識を特に強く持つことをおすすめします。

目標設定とフィードバック

いよいよ、新入社員が実務を開始する時期です。無理がなく現実的な範囲で、業務における目標を決めていきましょう。また、定期的(例:1日に1回・5分、1週間に1回・1時間など)にフィードバックを実施。フィードバックでは、できるようになったことをしっかりと褒める、現在の課題を明確にするなどを心がけましょう。

オンボーディングが上手くいかないときに注目すべき3つのポイント

いざオンボーディングを実施してみても、なかなか上手くいかないこともあります。そのような状況に陥った際は、ぜひ次の3つのポイントに注目してみてください。

  • コミュニケーションの量
  • 研修やトレーニングの内容
  • 新入社員に期待する業績や目標
コミュニケーションの量

新入社員は社歴が浅いこともあり、社内での信頼関係の構築などが十分にできているとは言えません。そのため、コミュニケーションの量は、オンボーディングの観点からもとても重要です。

 

オンボーディングが上手くいっていないと感じたら、面談やフィードバックの回数を見直し、必要に応じて回数を増やしたり、1回の面談にかける時間を長くしたるするなどしましょう。

研修やトレーニングの内容

たとえば、研修やトレーニングの内容が実務と乖離しすぎていると、オンボーディングは失敗しがちです。新入社員や受け入れ先の部署の担当者などにヒアリングし、実務で活かせるスキルや知識が習得できるプログラムに変更するなどしましょう。

新入社員に期待する業績や目標

会社側が新入社員に期待する業績や目標が高すぎると、成果をあげられないことにストレスを感じることにつながりかねません。一方で、業績や目標が低すぎたりすると、「自分は期待されていないかもしれない」という気持ちになる可能性があります。

 

たとえば、新入社員本人と相談したり、過去の新入社員の業績を確認したりするなどし、期待する業績や目標は適切な値を設定するようにしましょう。

優先的に取り組むべきオンボーディングプログラム(施策)

エン・ジャパン株式会社が、自社で実施したオンボーディングに関するアンケート結果を分析したところ、優先的に取り組むべきプログラム(施策)がわかりました。そのプログラム(施策)とは、次の4つです。

  • メンターや相談役などの支援制度
  • 上司など受け入れ側に対する教育
  • 上司と中途入社者の定期的な面談
  • 人事と中途入社者の定期的な面談

出典:エン・ジャパン株式会社 『中途入社者のオンボーディング』と『入社後活躍』 に関する調査・分析 ~甲南⼤学 尾形教授との共同研究~

メンターや相談役などの支援制度

新しい職場環境などへの適応をサポートするメンターや相談役。わからないことや困ったことがあった際に質問や相談をできるため、新入社員にとってはとても心強い存在です。メンターや相談役は、ある程度自社についての理解があり、社内のネットワークも十分に持っているような人がいいでしょう。基本的には、直属の上司が適していると言えます。

上司など受け入れ側に対する教育

スキルや知識の習得、社内における暗黙のルールの理解、前職の経験が通用しない部分を意識的に忘れることなど、新入社員が活躍するためにはクリアすべきポイントがたくさんあります。受け入れ側はクリアすべきポイントが多いことを認識し、新入社員を迎え入れることが必要です。

上司と中途入社者の定期的な面談

上司との面談では、「業務上の問題の解決」と「メンタル面でのサポート」を目的とすることが大切。たとえば、業務上の問題点や疑問点に耳を傾ける、これまでの経験で培ってきた強みが活かせたことを褒める、前職との違いについてアドバイスをするなどが重要です。また、できるだけ早く自社に馴染めるように、社内での人間関係づくりをサポートすることも効果的です。

人事と中途入社者の定期的な面談

人事との面談では、「上司には言いづらいことを聞くこと」を目的とするのがよいでしょう。たとえば、上司との関係性など、人間関係について確認し、フォローしていくことが重要です。

企業のオンボーディング成功事例

ここからは、実際の企業のオンボーディング事例を見ていきましょう。

株式会社東芝のオンボーディング事例

社会インフラ、エネルギー、電子デバイスなどの分野において、グローバルに事業を展開している同社。実はこれまで、キャリア採用において、新入社員が本当に活躍できているのかどうかを把握・検証できていませんでした。

 

そこで、今まで把握できていなかった現場の課題や問題、入社者の考えをキャッチアップできる体制を構築。今では、「採用して終わり」ではなく、一貫した人事戦略を構築しています。

出典:キャリア人材から障がい者まで多様な社員のコンディションを把握、活躍社員の傾向を把握することで次の採用戦略にも活かす。

株式会社BAKEのオンボーディング事例

チーズタルトやシュークリームなどの製造・販売を手がけている同社。同社は年間40名~50名ほどの社員を採用していましたが、店舗配属後に「思ったより大変」「お店に馴染めない」などの理由で早期に離職してしまう方が一定数いるという課題がありました。

 

そこで、社員の本音を引き出すためのアンケートを実施。アンケート結果を集計・分析することで、早期のサポートが可能になり、入社1年以内の離職率が半減しました。

出典:定着に向けた社員ケアに集中できる!分析や集計を自動化して、1年以内の離職率半減に成功。

LAPRAS株式会社のオンボーディング事例

Tエンジニアの採用に特化したスカウトサービスなどを展開している同社。同社はフルリモートワークを前提としていることから、新入社員への歓迎感が伝わりづらいといった課題を感じていました。

 

そこで、入社後にストレスなく会社に馴染んでもらいたいとの思いから、いくつかの取り組みを実施。たとえば、内定~入社までの間に社内コミュニケーションツール「Slack」の雑談チャンネルに招待し、同社らしいコミュニケーションや社内の雰囲気を感じてもらっています。また、入社後は既存社員30人全員との1on1を実施。今までの仕事や趣味などの話を通じて、距離感を縮めています。

出典:【新入社員研修】オンボーディングって3ヶ月間も何やるの?

LINEヤフー株式会社のオンボーディング事例

コミュニケーションアプリ「LINE」を手がけている同社。同社では、パソコンの不具合や備品の貸出、社内システムに関する質問など、あらゆる問い合わせに対応するための窓口「LINE CARE」を、LINEおよび対面カウンターの2つのチャネルで設けています。

 

もともとはオンボーディングを目的につくられたわけではない「LINE CARE」ですが、今では新入社員が早期に会社に慣れることをサポートする役割も担っているとのこと。このような窓口の設置は、スムーズなオンボーディングに有効でしょう。

出典:社員の働きやすさをサポートする「LINE CARE」

出典:LINE社員を支えるLINE CAREの裏側(BOTを入れてみた話)

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エン・ジャパン株式会社はオンボーディング支援ツール「HR Onboard」を手掛けていますが、「HR Onboard」の無料プランを利用する方法があります(入社者3名まで)。その方法というのが、engage(エンゲージ)に無料登録することengage(エンゲージ)は、東証プライム上場のエン・ジャパンが手掛ける、国内No.1の採用支援ツールです。採用サイトを無料でカンタンに作成したり、求人を無料で掲載できる、採用活動において様々な領域で支援してくれるツールです。

 

他にもオンライン適性テストや動画面接といったサービスが無料で利用可能です。大手企業も含め、全国で40万社以上に導入されるほどの人気を誇っているengage(エンゲージ)、ぜひこの機会にご利用ください。

 

まとめ

終身雇用が崩壊し、転職が当たり前になってきている今の時代ですが、企業としては社員には長く働いてほしいもの。だからこそ採用した後も長く定着してもらえるように、オンボーディングはますます重要になっています。

 

何から始めたらよいかわからない方は、まずは「HR Onboard」の無料プランをご利用ください。engage(エンゲージ)に無料登録すれば、どなたでも無料プランが利用可能です。登録はわずか30秒。40万社以上がすでに体験している最新の採用支援ツールを、この機会にぜひご利用ください。

 

 

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採用ガイド編集部

engage採用ガイド編集部は、人材業界で長く活躍している複数のメンバーで構成されています。人材業界で営業や求人広告ライターなどを経験したメンバーが、それぞれの得意領域を担当し、専門的な知識に基づき執筆を行っています。

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