「週休3日」とは?多様な働き方が認められる今の時代の休日を考える

少子高齢化による労働者人口の減少を受けて、より多くの人材が活躍できるよう、多様な働き方が実現できる制度づくりが進んでいます。時短勤務やテレワーク、産休・育休制度など、ここ数年で多くの制度導入が広がっていますが、そのうちの一つとして大きな注目を集めているのが「週休3日」です。

 

そこで、この記事では「週休3日」について詳しく解説。週休3日が注目されている背景をはじめとして、企業が導入するにあたっての利点と懸念点、さらには、週休3日の導入に向けた具体的な手順まで、広くご紹介します。

 

自社において週休3日の導入をご検討される際に「どんなメリットがあるの?」「どんなことに気をつけて導入すればいいの?」といったことについて知りたいとお考えの皆様にとって、この記事が参考になりましたら幸いです。

 

CHECK!

採用でお困りではないですか?

 

無料で求人を掲載したい方は、engage(エンゲージ)に無料登録を。Indeedをはじめ、求人ボックス、Googleしごと検索などの求人サービスにも自動で掲載されます各社の掲載条件を満たした場合

 

engage(エンゲージ)の導入社数は、40万社を突破。東証一部上場のエン・ジャパンが手掛けるサービスですので、安心して利用いただけます。(無料)

 

週休3日とは?

週休3日とは、1週間あたりの休日数が3日であること。一般的には週休2日を採用する企業が多いですが、それと比較すると休日が1日分多いことになります。そもそも労働基準法では、企業は従業員に対して少なくとも「毎週1日の休日」または「4週間に4日以上の休日」を与えなければならないと定められています。そのため、休日が多い分には法律違反に該当しません。週休3日以外にも、主な制度としては以下のようなものがあります。

□週休制…1週間あたりの休日数を1日であること

□週休2日制…1ヶ月の間で、週2日の休みがある週が1度以上あること(必ずしも週2回の休日があるわけではない)

□完全週休二日制…1週間あたりの休日数が2日であること

多様な働き方が認められている海外では、近年週休3日を導入する動きも広まりつつあります。中でも欧州においては、積極的に採用している企業もたくさんあります。

週休3日が注目されている背景

近年、週休3日が大きな注目を集めていますが、その背景にあるのは何でしょうか?それは「働き方改革の推進」です。仕事とプライベート、どちらも大切にする「ワークライフバランス」が重視される中、休日を増やすことによって多様な働き方を叶えるべく、週休3日が注目を集めているのです。その他にも、最近では新型コロナウイルス感染症の世界的流行を背景に、さらなる注目が高まっています。これは、休みを増やして自宅から職場への移動を減らすことにより、感染対策とする考え方が元になっています。

政府も「選択的週休3日制」を推奨している

さらに、政府においても『経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太方針2021)』において、「選択的週休3日制」の導入促進が新たに盛り込まれるなど、週休3日が推奨されています。

 

選択的週休3日制とは、簡単に言うと働き方を自分で選択できる制度のこと。たとえば原則として週休2日制の企業が導入した場合、「週休3日」という選択も広がり、労働者は自らのライフスタイルに合わせていずれかを自由に選択することが可能になるのです。しかしながら、休日が増えることによって給与が削減されてしまう可能性もないとは言い切れません。そのため、労働者の間でもさまざまな意見が上がっており、全面的な本格導入は至っていない状況です。

参考:経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太方針2021)

週休3日のメリット

このように、近年大きな注目を集めている週休3日ですが、企業が週休3日制を導入することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、従業員と企業、それぞれの立場を踏まえた週休3日のメリットについてご紹介します。

ワークライフバランスが実現できる

週休3日を導入する大きなメリットとしては、「ワークライフバランスの充実を図ることができる」点にあります。1週間あたりの休みが増えれば、空いた時間を有効に活用することができます。育児や介護などの時間に充てたり、趣味を楽しむ時間に充てたりすることも可能。あるいは、十分な休息を取ることによりリフレッシュを図ることもできます。その他、資格取得などに向けた勉強の時間に充てることもできるため、頑張り次第でスキルアップも叶えることができるでしょう。

柔軟な働き方ができる

「柔軟な働き方ができる」点も週休3日のメリットと言えます。企業が定めた就業規則にもよりますが、休日として空いた時間を副業や兼業の時間に充てることが可能。工夫次第で収入を増やすことができるかもしれません。また、リモートワークなどと組み合わせることによって、働く場所を選ばず業務ができるため、地方や海外に移住することも可能に。そうなれば、より柔軟な働き方が実現できるでしょう。

生産性・業務効率が高まる

1週間あたりの休日が増える分、従業員は限られた労働時間の中で業務を進めていかなければなりません。そのため、「生産性が上がる」という効果が見込めます。生産性が上がるということは、一つひとつの作業効率が高まるということ。これまでの体制やフローなどを見直し、ムダな作業を削減することができます。

コスト削減が期待できる

週休3日と聞くと働き方ばかりが注目されがちですが、「さまざまなコストが削減できる」というメリットもあります。1週間あたりの休日が増えて従業員の出勤日数が減る分、企業はオフィスの光熱費を抑えることができます。また、従業員一人ひとりの交通費の削減にも繋がります。さらに、生産性が向上すればそれだけ残業も減るため、残業代の削減にもなるでしょう。

優秀な人材を確保しやすくなる

柔軟な働き方ができる企業は、従業員にとっても理想的。結婚、子育て、介護など、ライフステージが変わっても状況に応じた働き方ができれば、それらを要因とする離職を減らすことが可能になります。またそのような環境は、従業員のみならず求職者にとっても魅力的であり、人材採用の場面において有利に働くため、優秀な人材を確保しやすくなります。

週休3日の懸念点

週休3日を導入することによってさまざまなメリットがありますが、一方で企業はどのような点に気をつけたら良いのでしょうか。ここでは、週休3日の導入における注意点についていくつかご紹介していきます。

生産性を上げないと業務が停滞してしまう

たとえば、週休2日制・1日あたりの勤務時間が8時間の職場の場合。週休3日になれば、単純に1週間あたりの勤務時間が8時間減ることになります。そうした状況下で、しっかりと生産性を上げることができなければ、どうしても業務は停滞してしまいます。そうなれば、日々の残業が増えてしまうことも懸念されるため、注意が必要でしょう。

ビジネス機会が損なわれる

自社において週休3日を導入しても、取引先や営業先が週休2日だった場合、連絡などが滞ってビジネス機会の損失を招く恐れがあります。同様に、社内の各部門でも週休3日の導入にばらつきがあれば、それだけ情報の共有が遅延してしまい、組織間での連携機会が損なわれたり、業務が停滞したりしてしまうことが予測されます。ビジネスシーンにおいて、取引先や営業先と接触できる機会が減少するのは、大きなリスクを伴います。事前に連絡を入れておくなど、何らかの対策を講じる必要があるでしょう。

会社への愛着心が薄くなる

休日の増加による従業員同士のコミュニケーション量の減少や、オフィスでの勤務日数の減少による会社に対しての愛着心や忠誠心の低下が懸念されます。また、副業や兼業などを通じて他の仕事も掛け持つようになれば、それだけ会社に対する帰属意識が薄くなってしまう可能性も。仕事に対する姿勢や意欲といった面に面頬することもあるので、注意が必要です。

週休3日の導入に向けた具体的な手順

企業が実際に週休3日制を導入するにあたっては、それまでの間にいろいろと検討すべきことがあります。ここでは、週休3日の導入に向けて検討すべき項目について、4つのステップで詳しく紹介していきます。

1.目的を明確にする

制度を導入するにあたっては、まずそもそもなぜ週休3日を導入する必要があるのか、その理由や目的などについて明らかにすることが大事です。新たな制度を導入する際には、その行為に必要性やメリットがなければ意味がありません。また、それに関連する就業規則の項目変更など、派生業務も発生する可能性があります。だからこそ、目的を明らかにすることが大事。「ワークライフバランスの充実」「生産性の向上」「コストの削減」など、目的を明確にした上で導入の検討を進めていきましょう。

2.運用ルールを策定する

実際に週休3日制を導入した際の運用ルールについて、予め策定しておくことも大事です。例としては、「給与額を変えずに1日の労働時間を増やして週の所定労働時間※を確保する」や「週の所定労働時間を減らして、その分の給与額も減らす」などが挙げられるでしょう。また、給与額を減らすのであれば、その計算方法なども決めておかなくてはいけません。その他、全従業員に一律で制度を適応するのか、部門ごとあるいは希望によって選択制にするのかなども、決める必要があるでしょう。

※所定労働時間…企業と労働者の間で交わされた契約に基づく労働時間のこと。

3.制度を見直し、就業規則を改定する

週休3日制を導入する際には、同時に関連する制度も改めて見直さなければなりません。たとえば、年次有給休暇。通常の場合だと勤続年数に応じて付与する日数も増えていきますが、週休3日でなおかつ週の所定労働時間が30時間未満となる場合、所定労働日数に応じて付与する比例付与になります。そのため、週休3日制の導入によって変更が見込まれるものを予め洗い出し、制度によっては就業規則の改定も並行して随時進めていく必要があります。

参考:年次有給休暇の付与日数(厚生労働省)

4.労使協定を再締結する

週休3日制を導入する場合、多くの企業では以下の3パターンのうちいずれかを採用します。

  1. 1日8時間労働×週4日勤務で、給与水準を下げる
  2. 1日8時間労働×週4日勤務で、給与水準を維持する
  3. 1日10時間労働×週4日勤務

3を選んだ場合、所定労働時間の運用を一定の期間内で柔軟に調整できる「変形労働時間制」を適用する必要があります。そうなれば、労使協定の締結内容にも影響が出るため、場合によっては再締結の手続きが求められるでしょう。

※労使協定…労働者と会社間で取り交わされる約束事を書面契約した協定。

en-gage.net

週休3日を実践する企業の導入事例

世界的にも注目度が高まっている週休3日ですが、国内においても大手を中心に実践している企業があります。ここでは、実際に週休3日制を導入している企業をいくつかピックアップし、それぞれの取り組みについて詳しくご紹介していきます。ぜひ自社における導入の参考にしてください。

株式会社ファーストリテイリング

ユニクロやジーユーなどのブランドで知られる服飾メーカーのファーストリテイリングでは、「1日10時間労働で土日を含む週4日勤務」という変形労働制のもと、週休3日制を採用しています。このルールでは、通常の「週休2日制フルタイム勤務(1日8時間労働×5日勤務=週40時間労働)」と同様の給与が支給される計算になります。1日の労働時間は増えますが、その分給与額は従来の額をキープすることでカバーしています。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社では2017年より、従来の完全週休2日制に加えて週休3日の働き方も選べる「選択的週休3日制」を採用しています。対象は、小学生以下の子どもの育児や家族の介護・看護などに従事している正社員および契約社員。月単位での申請・変更を可能としています。週休3日を選択した際の休日の給与は無給となるものの、従業員の多様な働き方をサポートしています。

ヤマト運輸株式会社

ヤマト運輸株式会社では2019年9月から、「労働日数・時間選択制度」を導入。従業員がライフステージに合った働き方を選べる仕組みを作っています。対象は、育児や介護などいくつかの条件を満たした従業員。週休3日だけでなく週休4日勤務も選択できるだけでなく、1日あたりの労働時間についても、従来の8時間労働に加えて7時間労働も選択可能なのも特徴です。柔軟な働き方への対応のみならず、人材不足の解消も視野に入れた制度と言えるでしょう。

みずほフィナンシャルグループ

みずほフィナンシャルグループでは、2020年12月より柔軟な働き方を実現することを目的に、従業員自身の希望に応じて選択できる「週休3日・4日制」を導入しています。この制度のもとでは、基本給の水準が週休3日の場合で約80%、4日の場合で約60%減少が見込まれる一方、2019年から社内規則にて副業を認めており、そちらで補填できる仕組みになっています。

週休3日は採用活動・人材確保にも有効

週休3日は、柔軟な働き方を実現することで離職者を低減し、従業員満足の向上にも効果が見込めます。また近年は、給与に限らず労働条件によって就業先を選ぶ求職者も多いため、先進的な企業としての姿勢もアピールできる制度です。経営戦略としての働き方改革はもちろんのこと、採用シーンにおける重要な取り組みとして捉え、実践するのも良いかもしれません。

まとめ

ここまで、週休3日について説明してきましたが、いかがだったでしょうか?少子高齢化によって労働人口が年々減少していく中、週休3日は多様な働き方を実現するだけでなく、人材確保にも繋がる重要な施策です。また、感染症の防止にも効果が期待できることから、これからの時代において導入する企業も増えていくことが予測されます。導入の目的などを予め明確にしながら、この記事を参考に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

CHECK!

採用でお困りではないですか?

 

無料で求人を掲載したい方は、engage(エンゲージ)に無料登録を。Indeedをはじめ、求人ボックス、Googleしごと検索などの求人サービスにも自動で掲載されます各社の掲載条件を満たした場合

 

engage(エンゲージ)の導入社数は、40万社を突破。東証一部上場のエン・ジャパンが手掛けるサービスですので、安心して利用いただけます。(無料)

 

engage

採用ガイド編集部

engage採用ガイド編集部は、人材業界で長く活躍している複数のメンバーで構成されています。人材業界で営業や求人広告ライターなどを経験したメンバーが、それぞれの得意領域を担当し、専門的な知識に基づき執筆を行っています。

engage採用ガイド編集部は「採用に悩む経営者・人事担当者の頼れる相談先」としてこれからも日々情報をお届けしていきます。 ※engage採用ガイドはエン・ジャパン株式会社が運営している情報サイトです。