【選考合格後の辞退を防ぐ】採用通知書とは?役割と出し方を徹底解説!

少子高齢化が進み、労働人口の減少が続いている現代において、人材獲得競争は激化しています。就職・転職活動の現場では、企業側が「選ぶ」だけではなく、応募者から「選ばれている」ことを忘れてはいけません。同時期に何社もエントリーするのも一般的なことで、企業側の選考時の対応次第では、応募者側から応募を辞退されてしまうケースも少なくありません。

 

優秀な人材を確保するために重要なのは、入社前にきちんと「この会社で働きたい」と感じてもらうことです。たとえば、求職者側が採用情報に惹かれて試験を受けに来たとしても、面接が粗雑であったり、選考後にないがしろな対応をされたりしてしまっては、企業側から合格を出しても入社に承諾しない可能性も出てくるでしょう。

 

そこで今回は、選考後の最初の印象となる「採用通知書」についてご紹介します。自社の採用試験を突破した「入社してほしい人材」を逃さないためにも、採用通知書を出すことは非常に大切です。では実際に、採用通知書がどのような役目を果たすのか解説していきます。

 

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採用通知書とは?

採用通知書とは、名前のとおり企業側から応募者に対し、採用の意思を決めたことを知らせる書類です。つまりは「人材採用の選考に合格した」証明として応募者に発行します。

 

採用通知書は、あくまで選考結果を伝えるもので、正式なルールがある書面ではありません。そのため内容は企業ごとに異なりますが、多くの場合は企業側からの挨拶・採用決定の意思・大まかな就業条件や給与額などが記載されます。

 

また採用を決めた際に送付する書類として混同しやすいのが、「内定通知書」です。採用も内定も選考を通ったという意味では同じですが、実は内定通知書と採用通知書では、それぞれが持つ効力には大きな違いがあります。では具体的に、双方でどのような部分が相違しているのか見ていきましょう。 

内定通知書との違い

そもそも「内定」というのは、基本的には企業側も求職者側も入社を承諾しているものとされていて、「始期付解約権留保付労働契約」を締結している状態を指します。これは雇用開始までに一定期間が置かれる際に、誓約書などで定めた求職者の虚偽や過失が発覚した場合に内定を取り消しにできる、条件付きの契約です。

 

内定を出すことにより、企業側と求職者との間には労働契約が発生します。そのため内定通知書は法的な拘束力を持つ書類であり、発行した時点で原則企業側の都合による内定の取り消しはできません。たとえば、雇用開始前に経営が困難になった、内定を出していた人員が不要になったというように、企業側の状況次第で内定をなかったことにはできないのです。

 

特に新卒者向けに対しては、2009年1月に厚生労働省より発表された「新規学校卒業者の採用に関する指針」においても、内定取り消しに関する厳しい取り決めが示されています。ただし応募者側からの内定辞退に関しては、憲法22条の「職業選択の自由」によって守られており、基本的にはこの申し出には応じる必要があります。

 

一方で採用通知書については企業側が本採用を決定した結果のみを知らせる書類で、労働契約が生ずるものではなく、法的な拘束力もありません。

 

こうした違いから多くの場合は、一定期間の拘束力が生まれる内定通知書は「新卒者向け」に、採用通知書は「中途入社向け」に使われるのが一般的です。中途入社の場合は新卒採用と比べると短期間で雇用開始となるため、あえて内定の状態にしておく必要がないためです。ここまで見る限りでは、採用通知書にさほど大きな意味がないように思えるかもしれませんが、実際にはどのような目的で発行されるのか、以下から解説していきます。 

採用通知書は用意しなくてはならない?

採用通知書は必須ではない

前項目にもあるように、採用通知書には法的な拘束力はなく、求職者に対する発行の義務もありません。ちなみに内定通知書も同様に発行の義務はなく、あくまで企業側の判断によって内定通知を出した場合に、初めて法的な拘束力が生まれます。

 

なお雇用を始める場合に発行しなければならないのは、「労働条件通知書」です。これは労働基準法第15条第1項によって定められているルールで、労働契約締結時には、賃金や勤務時間などをはじめとした各条件を明示しなければならないとされています。さらには記載方法についても細かな規定があり、発行する書類には計13事項に関する明記が必要です。また労働条件通知書の正式な雛型は、厚生労働省のHP上で公開されています。(正式な雛型のダウンロードはこちらから)

 

では法律の規則によって発行するものではない採用通知書は、なぜ多くの企業で発行されているのでしょうか。そこで以下からは、採用通知書を送付することによって、どのような目的、メリットがあるのか見ていきましょう。

採用通知書を発行する目的

採用通知書については用意していなくても特に問題はありません。しかし一般的には、雇用する意思を伝える書面として数多くの企業で発行していて、正式に採用通知書が送られてきたほうが求職者側にとっての信頼性は高くなります。

 

また特に就職先がなかなか決まらない状況にある求職者には、大きな不安がつきものです。場合によってはきちんと採用してもらえる職場を選ぶため、同時に何社も並行して面接を受け、企業からの連絡がない期間に次の候補先に応募するケースも少なくありません。

 

そこで獲得したい人材をしっかりとつなぎ止めておくには、企業側からの明確な意思表示が不可欠です。本採用の結果がはっきりと分かれば、求職者側も他社を検討するのを中断してくれる可能性は高くなります。求職者に安心してもらうためにも、採用通知書の発行は大切なのです。

 

さらに採用通知書を送付することで、たとえば給与や職務内容など、企業と応募者側の認識にズレがないかの最終確認にもなります。通常は採用通知書と同時に、入社の承諾書や誓約書などを送付し、求職者側の返答を受けてから正式な雇用関係が結ばれるのです。ここで互いの条件が合致していることを確認することで、入社後のトラブルも避けられるでしょう。

 

採用通知書の発行の目的にあるのは、「入社してほしい人材の確保」と「入社に関するトラブルの防止」という2点が大きいと言えます。

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採用通知書を用意すべきタイミングは?

採用通知書の発行には、何か特別なルールが設けられているわけではありません。そのため「いつまでに送付しなければならない」というものではありませんが、企業としての誠実な姿勢を示すためにも、中途採用の場合であれば、選考から大体1週間を目安に求職者の手元へ届くようにしましょう。書類の送付が難しい場合には、メールや電話などで選考結果のみ先に伝え、正式な採用通知書は後から送付するのも1つの手です。もしくは書類一式のやり取りをメールで行なう方法でも問題ありません。

 

求職者の意思で応募してきているとは言え、面接やその後の対応に疑問を感じるような企業には入社したいとは思えません。企業が人材を選ぶように、求職者も自分が最も働きたいと感じる企業に入りたいと考えています。安心感を持って入社してもらえるよう、企業側も選ばれているという意識をきちんと持ちながら、新たな人材を迎える準備をしておきましょう。

 

なお新卒向けの場合は、採用通知と内定通知を同時にする「採用内定通知書」として発行されることも多く、自社の内定式で渡すケースもあります。 

不採用の際は、不採用通知を出すのが丁寧

また不採用の場合にも、きちんと不採用通知書を出すのが良識的です。求職者側は、採用であっても不採用であっても同じように結果連絡を待っています。場合によっては、他社への応募を中断していたり、入社の承諾を保留にしていたりすることも考えられるでしょう。

 

せっかく面接の時間を取ってもらったからには、たとえ不採用でも丁寧な対応が欠かせません。採用通知と同じように大体1週間を目安に、選考の結果が出たらできるだけ早めに求職者へ伝えるようにすべきでしょう。そして自社を志望してもらった感謝の意味も込めて、きちんと書面で送付するのがベストです。相手は求職者である一方で、自社の現状のお客様、もしくは将来的なお客様にもなり得ます。どこでどうつながるのかは分からないので、一企業として真摯に向き合うようにしましょう。

採用通知書に記載すべき内容

では具体的に採用通知書には、どのような内容を記載すべきなのでしょうか。ここまでにも何度か出てきていますが、採用通知書には正式な決まりがないので、書面のフォーマットは企業側で自由に決めても問題はありません。ただし前述にもあるように、採用通知書には双方が合意できる条件で労働契約を結ぶための「最終確認」の意味合いもあります。入社後のトラブルを防ぐためには、まずはどのような事項が必須なのか見ていきましょう。 

就業条件について

第一に押さえておきたいポイントは、互いの労働契約の基本となる就業条件です。企業側と求職者側とで相違がないことを確認するためにも、職務内容・配属先・勤務地・給与・試用期間・入社日といった情報は入れておいたほうが無難でしょう。そのほか入社の承諾書や誓約書などの書類も送付している場合には、同封内容や返信期限の記載もするのがベストです。ちなみに求職者からの返信を要する書類を添付する際には、送り間違いや未達にならないよう、自社の住所・宛先・切手まで用意した返信用封筒も同梱しましょう。

 

これらの確認事項に加え、季節の挨拶・自社に応募してもらったことへの感謝・採用試験に通過した旨などを導入文として入れておくと、より親切かつ丁寧な印象になります。

内定取り消し事由について

また新卒者向けなどに採用内定通知書として発行する場合には、内定取消事由も触れておきましょう。もし学生に内定を出すのであれば、学校を卒業しなければ就業できない旨などを記載。ほかにも就業にあたって資格や免許が必要な職種で、雇用開始前までに求職者側で取得しておくのが条件である際などには、その内容も明記します。ただしあくまで内定取消事由にできるのは、求職者側の過失や虚偽に関するものだけです。企業側の経営不振や倒産といった内容は設定できないので注意する必要があります。

 

もちろんここまでにご紹介している内容は、いずれもあくまで参考例です。追加したほうが良いと考えられる項目は企業側で柔軟に設定できるため、ぜひともここまでに取り上げた記載事項をもとに、より自社に適した形式を作ってみてください。

採用通知書の雛形・テンプレート

採用通知書のサンプルをご紹介します。なかなかイメージがわきにくいという場合には、ぜひ参考にしてみてください。状況に応じて各項目の追加や削除をしつつ、自社で使いやすいオリジナルのテンプレートにしてみてはいかがでしょうか。

<採用通知書の雛形・テンプレートはこちら

採用通知書を送った後の、フォローが大切

採用通知書を送って一安心となるのは、まだ早いかもしれません。採用通知書はあくまで、選考結果を伝えるものなので、応募者が入社してくれるかどうかはわかりません。他社選考で採用通知を送られている場合もあるでしょう。そこで大事なのが、フォローです。たとえば、会社について気になるところはないかコミュニケーションをとってヒアリングしたり、場合によってはオフィス見学や先輩との面談などを設定して、入社意欲を高めるなど、フォローが大事です。揺れ動いている求職者に選んでもらうためにも、きめ細かなフォローなどをして、入社まで導いていくことが大事です。冒頭にも述べましたが、企業が選ぶ立場にあるという意識でいると、他社にいってしまう可能性もある、人材獲得が難しい時代です。できるだけ内定者の入社意欲を高められるようなフォローをしていきましょう。

まとめ

採用通知書は、法律上などで発行が義務化されているものではありませんが、求職者の視点になって考えてみると、用意するに越したことはありません。特に何社も並行して就職活動を進めている場合には、求職者の行く先を決める際には非常に重要です。できるだけ早くに採用結果の通知がほしいというのが本音でしょう。

 

また企業側にとっても、いち早く採用通知書を出すことで、人材の確保や入社までの時間短縮につながります。さらにきちんと書面で採用通知を届けることで、今後の意思や就業条件の確認ができ、互いの認識の違いによるトラブルを防ぐことも可能です。

 

不誠実な対応によって優秀な人材を逃してしまうことのないように、採用通知書をはじめとした入社前の手続きは、きちんと丁寧に行なうようにしましょう。求職者側も企業側も幸先の良いスタートをきるためには、まずは何事にも入念な準備が必要です。

 

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採用ガイド編集部

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