内定承諾書とは?目的、作り方、送り方、内定辞退の減らし方を解説【テンプレート付き】

「内定承諾書」は一般的に内定通知の際に送られるもので、内定後の人材確保に役立つ書類でもあります。そこで今回は、内定承諾書の概要や送付する目的のほか、内定者に送る手順、内定辞退を受けた際の対処法などについてご紹介します。

 

働き方が多様化している背景もあり、就職するにあたって求職者は、企業との相性などマッチングを重要視しています。特に新卒者は何社も応募しているケースが多く、企業が内定を出した際には互いの意思を確認しておくことが欠かせません。他社と悩んでいる場合もあるため、自社への入社を決断する機会を企業側から与えることが大切です。

 

また企業として信頼してもらうためにも、口約束ではなく、正式な書面によって互いに契約を交わすことが必要になってきます。そこで有効なのが「内定承諾書」。本記事では、その内定承諾書が示す意味や送付方法などについて、詳しく解説していきます。貴社の採用活動にお役に立てれば幸いです。

この記事は2021年4月22日に公開した記事を再編集しています

 

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内定承諾書とは

内定承諾書とは、企業が内定を出した応募者に対して、入社する意思があるかどうかを確認するための正式な書類です。

 

内定承諾書を通じて応募者の意向を確認することができれば、企業側は採用計画における進捗を把握でき、新入社員を迎え入れるための準備ができます。また、採用人数が充足していれば採用活動を終了でき、不足している場合は採用活動を続けるという判断も可能です。

 

一方、応募者側にとっては、たとえ内定が出たとしても必ず入社する義務はないため、就職を決める前に自分の気持ちを確かめられるツールとも言えるでしょう。いざ入社するからには、できるだけ長期的に働ける職場を選びたいのが当然でしょう。よく吟味し、入社するか否かを決断する。内定承諾書には、最終的な決断を促す役割もあります。

 

ちなみに、企業が内定承諾書を作成・送付する義務はありません。

他の内定・採用関連書類との違い

内定や採用に関連する書類には、内定承諾書と名前などが似ている書類がたくさんあります。ここでは、下記の4つの書類との違いを確認していきましょう。

入社承諾書との違い

入社承諾書は内定承諾書と同じ意味を持つ書類です。内定承諾書と同様に、作成・送付の義務はありません。

※ここから入社承諾書(内定承諾書)のテンプレートをダウンロードできます。

内定通知書との違い

内定通知書は、「内定したこと」を伝えるための書類です。「採用通知書」や「採用内定通知書」と呼ばれることもあります。一方で、内定承諾書は入社の意思の有無を確認するための書類。名前は似ていますが、その目的が異なります。そして、内定通知書は内定承諾書と同様に、作成・送付の義務はありません。

 

ちなみに、内定通知書は法的な拘束力を持ちます。そのため、企業が応募者に内定通知書を送付した時点で、原則として企業側の都合による内定の取り消しはできません。たとえば、内定を出していた人員が不要になったなどの都合で、内定をなかったことにはできないということです。

※ここから内定通知書のテンプレートをダウンロードできます。

雇用契約書との違い

雇用契約書とは、雇用する側(企業や経営者)と雇用される側(労働者)の両者間で交わす契約書のこと。双方が雇用契約に合意したことを証明する書類で、「勤務場所」「業務内容」「勤務時間」「給与」「休日」などの労働条件が記載されています。

 

ちなみに、雇用契約書は法律上において書面での交付は義務づけられていません。そのため、口頭でも契約できます。しかし、のちのち「言った、言わない」のトラブルになりかねません。そうならないためにも、きちんと書面にして2枚作成し、双方が署名または記名押印をしたものを、お互いで1枚ずつ保管しておくことが良いでしょう。法的にも「できる限り書面により確認する」ことが求められています。

※ここから雇用契約書のテンプレートをダウンロードできます。

労働条件通知書との違い

労働条件通知書との違いとは、企業が労働者と雇用契約を結ぶ際に、労働条件や待遇を労働者に明示するために交付する書類のこと。労働基準法によって、「労働者を採用するときには労働条件を明示しなければならない」と定められています。

※ここから労働条件通知書のテンプレートをダウンロードできます。

企業が内定承諾書を送付する目的

前述したように、内定承諾書には発行義務がありません。では何のために送付するのでしょうか。内定承諾書を送る具体的な理由について説明していきます。

応募者に入社する意思があるかどうかの確認をするため

特に新卒の場合、就活の中で何社もの候補を挙げて応募しているケースが多々あります。そのため、たとえ企業側が内定を出したとしても、応募者側にとってはいくつも選択肢があるので、入社してくれるとは限らないのです。

 

そこで正式な書類をもって、あらためて入社の意思があるのか確認します。応募者だけでなく、企業側も選ばれる立場にあることには変わりありません。面接の時点では第1志望と言っていても、選考期間中に考えが変わったり、他社とのやり取りを通じて迷いが生じていたりする可能性もあります。

 

応募者側の本来の意思を正確に確かめるためには、内定承諾書によって意思表示してもらうことが欠かせないのです。

 

また先ほどご紹介した本採用時に送付する書類とまとめて内定承諾書を送ることで、就業条件の認識に相違がないかの確認もできます。基本は労働条件通知書と同封することになるため、そこで職務内容や給与などの各種条件をあらためて伝え、内定承諾書にて納得している旨を企業側に知らせてもらう意味があるのです。

 

きちんと正式な書類によって返送してもらうことで、入社後のトラブルを防ぐことにつながります。労働契約の内容を内定時にしっかりとすり合わせしておくことで、互いにとっての入社前の最終チェックにもなるのです。

獲得したい人材の確保

内定承諾書で法的に拘束はできませんが、社内的には正式な書類として取り扱われます。また書面上で応募者から署名・捺印をもらうことで、入社の意思を固めてもらい、気持ちを引き締めてもらう意味もあるのです。きちんと正式書類によって返答してもらうことで、内定辞退の抑制にもつながります。

 

自社の選考を通った優秀な人材を確保し、確実に入社してもらうためにも、内定承諾書を通じて応募者にとってしっかりとした心構えができる機会を作りましょう。必ずつなぎとめておけるものではありませんが、実質的な拘束力を持たせる目的もあります。

就活をしている新卒学生が内定承諾書を返送する目的

企業から内定承諾書を送付された学生が内定承諾書を返送する目的は、主に2つ。それは、その企業に入社する意思を示すことと、就職活動を終了することです。内定承諾書が返送されるということは、主にこの2つの意味があるということを、企業側も理解しておきましょう。

内定承諾書の作り方

実際にどのように内定承諾書を作成すればいいの?という方もいらっしゃるかと思いますので、内定承諾書の作り方や送付方法についても詳しくご紹介します。

記載しておきたい内容

大事なのは、内定承諾書によって何を伝えたいかという目的です。大まかなポイントとしては、提出してもらうことで応募者側に生じる誓約・内定取消事由・入社手続きに必要な個人情報の取り扱いの3つ。では詳細な内容に関しても、項目別に見ていきましょう。

 

・宛名

企業側に対する書類なので、ここは自社名と代表取締役社長の氏名が入ります。なお自社宛てなので、社長の敬称は「殿」にするのが一般的です。

 

・内定通知書を受け取った、および入社を承諾する旨

「私は内定通知を受け取りました」「私は入社することを承諾します」といった証明と誓約の文言を記載し、それぞれ書類を受け取った日時と承諾する日時を空欄で入れておきます。日時については、内定者に自書してもらうための空欄です。

 

・内定承諾にあたって誓約する事項

「書類提出後に取消や入社拒否はしない」「入社時の必要書類は期日までに提出する」「住所など個人情報に変更があった場合には速やかに知らせる」など、滞りなく勤務開始に向けて動くための注意事項を記載します。

 

・やむを得ない内定取消には異議を唱えない旨

先ほども出てきましたが、内定者側の理由(予定の日に卒業できなかった・病気などで正常な働きができないなど)では企業側からの内定取消ができます。こうした企業側が明示した事項による契約の解除には抗議しない、といった内容も、念のため記載しておくと良いでしょう。

 

・本人の署名、捺印

最後には承諾の印として、本人の自署および押印をしてもらう項目も設けておきます。

 

上記の内容は、あくまで参考例です。書類の形式に決まりはないため、必要に応じて記載事項は変えても問題はありません。より自社に適したフォーマットを作るのがベストです。

内定承諾書サンプルの図

送付方法について

内定承諾書が作成できたら、次はそのほかの必要書類とあわせて送付しなければなりません。書類の送り方にも配慮しておかないと後でトラブルが起きる可能性もあるので、企業として誠実な姿勢を示す意味も込めて、最低限押さえておきたいポイントも解説していきます。

 

前述にもあるように書類の漏れを防ぐ目的とあわせて、添え状は付けておくのが丁寧です。また内定承諾書は自社に返してもらわなければならないので、返信用封筒を同封しておきましょう。なお送り間違いのないように、返信用封筒には自社の住所と宛先の記載と切手の貼り付けまでしておきます。

 

そして送付物が揃ったら、破損や情報漏えいの心配がない、厚手で中身が分からない封筒を用意。郵送の途中で雨などに濡れるかもしれないので、送る書類はクリアファイルにまとめて入れておきましょう。きちんと届いているかの確認もできるように、郵送の際は必ず簡易書留にします。

 

もちろん郵送するのがルールというわけではないため、メールでのやり取りでも問題はありません。もしくは内定式がある企業では、その時に持参してもらうのも1つの手です。

内定承諾書のテンプレート

なお内定承諾書の書き方については、以下において参考にできるテンプレート例もご紹介。適宜加筆・修正をしながら、使いやすい書式を作成してみてください。

テンプレートはこちら内定承諾書(入社承諾書)

内定承諾書と一緒に送る書類

内定承諾書を送る際に、併せて内定者に送った方がいい書類がいくつかあります。 バラバラに送ると学生も困惑してしまうので、すべての書類を揃えてから送付しましょう。
では以下に送付すべき書類を挙げていきましょう。
 
  • 内定通知書
  • 労働条件通知書
  • 必要書類の案内
  • 添え状
内定通知書(採用通知書)
企業が学生に内定が決まったことを知らせる書類です。特に決まった書式はなく、自社に適した内容を記載します。 最初にひな形を作成しておけば次年度以降の作成の手間を省くことができます。
 
内定通知書には、以下内容を記載しておきます。
 
  • 自社に応募してくれたことへのお礼
  • 内定が決まったことの通知
  • 採用担当者への連絡先
  • その他必要に応じた連絡事項
 
労働条件通知書
労働条件通知書は、労働基準法の第15条第1項と労働基準法施⾏規則第5条によって「労働者を採用するときには労働条件を明示しなければならない」と定められています。
 
そのため、内定者に対して必ず送る必要がある書類ですが、通知書には、以下の項目を記載しておきましょう。
 
  • 雇用期間(有無や期間)
  • 勤務場所
  • 業務内容
  • 就業、休憩、残業、休日に関すること
  • 給与額、残業手当、給与支払日および支払方法などの賃金に関すること
  • 定年年齢、解雇条件など退職に関すること
  • 昇給に関すること
 
必要書類の案内
入社にあたって提出してもらう必要のある書類を内定時あらかじめ知らせておき、事前に準備してもらうための案内書です。たとえば、年金手帳や健康保険被扶養者届といった、入社手続きに要する届出などをいつまでに用意してほしいか、などの内容を記載します。
 
以下に入社に必要な書類一例をあげます。
 
  • 年金手帳
  • 雇用保険被保険者証
  • 扶養控除等申告書
  • 健康保険被扶養者異動届
  • 源泉徴収票
  • 労働条件通知書
  • 給与振込先の届書
  • マイナンバー
添え状
送付漏れといったトラブルを防止するために、どの書類を何部送っているのかの案内を付けると良いでしょう。こうした添え状を付けておけば、不備があった際には到着した時点で連絡がもらえる可能性があります。
 
添え状の書き方にルールはありませんが、「どの書類」を「何部」送ったのかを説明する書類なので、以下の項目は記載しておくとよいでしょう。
 
  • 挨拶
  • 同封書類の内容
  • 同封書類の部数
  • 補足
  • 同封資料不足時の連絡先

 

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内定承諾書の出し方(送り方)

内定承諾書は郵送するものというイメージがあるかもしれませんが、出し方(送り方)に決まりはありません。郵送はもちろん、メールでの送付でもかまわないのです。ただし、郵送にせよメールにせよ、送付の際は個人情報の取り扱いに注意しましょう。

内定承諾書の法的拘束力

続いては、内定承諾書の法的拘束力について説明します。

内定承諾書で法的に拘束することはできない

結論から述べると、内定承諾書に法的拘束力はありません。なぜなら、内定承諾書は企業と応募者が交わす意思表示に過ぎないからです。

応募者からの内定辞退は違法ではない

内定承諾書に法的拘束力はないため、応募者からの内定辞退は違法ではありません。

 

しかし、応募者が企業に内定承諾書を送付した(内定承諾の旨を伝えた)時点で労働契約が成立するため、送付後に内定辞退をした場合は、「契約違反」として、損害賠償責任を請求できる可能性もあります。

 

ここでいう損害とは、たとえば、新入社員のための研修費や設備費が現実に発生しているケースなどです。とはいえ、前例は少なく、企業が訴訟を起こすことは難しいのが現状です。

 

ちなみに、応募者が内定承諾後に内定を辞退した場合は労働契約の解約ということになり、内定辞退の意思表示がなされた日から2週間後に労働契約は解約が成立します。

入社するまでの内定者フォローが重要

企業側が内定を出したからと言って、確実に入社してもらえるわけではありません。実際にエン・ジャパン調べによると新卒採用で内定辞退が起きるのは5~6割にも上り、中途採用の選考後の内定辞退率も半数を超えています。

 

そのため必要な人材を確保するには、内定通知や承諾の連絡はもちろん、勤務開始前の期間に面談をしたり課題に取り組んでもらったりなどの定期的なコミュニケーションが不可欠です。より意欲の高い状態を維持して入社してもらうことで、その後の仕事に対するモチベーションにもつながるでしょう。

内定辞退の図

 出典:人事のミカタ 選考辞退について

内定承諾書に頼らずに内定辞退を減らす方法

先ほど、応募者に内定を出した後に大切なのは内定者フォローであることをお伝えしました。ここでは、内定辞退を減らすために有効な施策を紹介していきます。

社内コミュニケーションツールに招待する

Microsoft TeamsやSlackなどの社内コミュニケーションツールに内定者を招待し、社員の人柄や社風を感じてもらうことも有効です。たとえば、ツール内で順番に自己紹介などを行なえば、一緒に働くことになる社員や内定者たちへの興味や関心が高まっていくでしょう。

社員との交流の場を設ける

既存の社員が参加する座談会やランチ、社内イベントなどに内定者を招待し、交流を深めていくのもひとつの手です。また、オフィスから遠方の場所に住んでいる内定者がいる場合は、オンラインで開催してもいいでしょう。

内定者同士の交流の場を設ける

内定者懇親会などを通じて、内定者同士の絆を深めていくのもいいでしょう。入社前から交流することで人間関係が形成されるため、入社後にお互いが協力しやすい体制をつくることにもつながります。もちろん、内定者同士の交流においても、オンラインでの開催は有効です。

内定者研修を行なう

研修は実務に近いこともあり、内定者研修の実施は内定者の帰属意識を醸成することが期待できます。また、実際の仕事をイメージしやすいため、内定者のモチベーションアップにもつながるでしょう。

接点や交流の場を定期的に設ける

内定者との接点や交流の場は一度きりなどではなく、定期的に設けることをおすすめします。というのも、内定者の中には入社に対する緊張や不安を抱えている人も少なくないからです。定期的に交流の機会を設けることで緊張や不安の解消につながるだけでなく、「この会社で働きたい!」という意欲を醸成することも期待できます。

まとめ

内定承諾書は、内定者の意思決定や内定辞退の防止などに有効な書類であり、企業側の誠意を見せる意味でも重要な役目を果たします。発行こそ義務付けられていませんが、人材採用をスムーズに進めるためには不可欠な存在と言えるでしょう。

 

採用後の誠実な対応が人材の確保につながる上に、しっかりとケアすることで内定者からの信頼も得られます。この先共に働く仲間として、きちんと勤務開始前から真摯に向き合うことが大切です。

 

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